内容説明
連続殺人の万華鏡(カレイドスコープ)惨劇の光源を暴け! 八丈島沖にひっそりと隣り合う月島と竹取島。古くからの因習に呪縛され、月島の一族に支配され続けている双(ふた)つの島を、《あかずの扉》研究会の6人が訪れた時、血も凍る連続殺人の万華鏡が回転を始めた。一族に伝わる秘宝が島の後継者を次々と殺戮(さつりく)する怪! 本格推理の気鋭が放つ孤島ミステリーの奇跡的傑作! (講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
275
個人的にシリーズの中で一番好きな作品。メンバーそれぞれ見せ場があり、ライトな語り口ながらも島の因習を上手く盛り込んでいて飽きずに読める。前作では道化に等しかった鳴海も面目躍如。色々なところで細かい引っかけが用意されており、多少読みやすくなった解決編も楽しめる。前作よりも犯人にインパクトもある。刊行当初は、携帯電話やPHSを積極的に物語に組み込む姿勢も評価されていた記憶があるが、あっという間に現実に追い抜かされて、今となってはPHSのくだりが古くさく感じてしまうのが悲しい。意味不明な読者もいるのでは。2016/12/02
ダイ@2019.11.2~一時休止
75
《あかずの扉》研究会その2。孤島モノ。二人の探偵がそれぞれに推理するって感じが良かった。2014/04/04
へくとぱすかる
66
ひたすら分厚い。前作よりさらに読了時間がかかった感じ。しかし「研究会」の面々の人物像がすでにわかっているだけに読みやすかった。孤島ものらしくないと思っていたけど、やはり……必然性はあるんですね。終始、論理・論理、また論理。ところで、450ページで、「おおっ」と思った。そこまで調べて書くのかと。恐れ入りました。かなり早く途中でおやっと思ったことがひとつありましたが、なるほど、そうくるか。やはり作者はすごい。2018/01/14
セウテス
62
〈あかずの扉〉シリーズ第2弾。横溝正史先生の「獄門島」のオマージュ作品だと思う。二つの島、月島と竹取島に研究会の6人が訪れると供に、島にまつわる伝統と秘宝を巡って、島の後継者が次々と殺されていく。背景も展開も、しっかり「獄門島」を継承しています。二作目となりキャラがはっきりとしてきて、特徴が楽しめる上に個人の感情や繋がりが面白い。前作より格段読みやすくなっており、犯人の予想は付け易い。しかし、その動機や殺害方法の何故の部分を明らかにするには、後半で初めて知る事が出来る後付けが多く、本格に徹して欲しかった。2015/08/11
🐾Yoko Omoto🐾
62
「あかずの扉研究会」シリーズ2作目。古くからの時代錯誤な因習に囚われている一族が有する2つの島。島の宝と後継者争い、島自体に隠された真実に、一族とは無縁に見える人間たちが複雑に絡み巻き起こる連続殺人事件。物語が動き出すまではやや退屈に思えるのだが、霧舎氏の作品はその部分にも結構重要な伏線が張られていることが多いので油断禁物。もちろん回収は漏れなくされておりラストはスッキリの正統派な本格物。しかし物凄い数の人が殺されているにも関わらず、許されざる犯人に対しての登場人物の態度はやや緊迫感に欠ける気も(苦笑)2013/10/14