内容説明
ロラの学校の子たちはみんな、ここで生まれたわけではありません。ずっと遠くからやってきた子たちのための学校だったのです。先生がクラスの子たちに「あなたたちが生まれた国の絵をかいて明日もってきて」と言ったとき、みんなものすごくうれしそうでした。みんなどんな絵をかくか話していました…ロラをのぞいては。もちろんロラだってすごくかきたかったけど、赤ちゃんのころ島からやってきたので、なにもおぼえていませんでした。
著者等紹介
ディアス,ジュノ[ディアス,ジュノ] [D´iaz,Junot]
1968年にドミニカ共和国に生まれ、アメリカ・ニュージャージー州にうつり住む。短篇集『ハイウェイとゴミ溜め』で高い評価を受ける。『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』で全米批評家協会賞、ピュリツァー賞を受賞、『こうしてお前は彼女にフラれる』はニューヨーク・タイムズ紙ベストセラーとなり、全米図書賞にノミネートされた。マサチューセッツ工科大学教授
エスピノサ,レオ[エスピノサ,レオ] [Espinosa,Leo]
コロンビア・ボゴタ出身のイラストレーター・デザイナー。ニューヨーカー誌ほか、多くの有名雑誌で特集が組まれる。ユタ州のソルトレイクシティに家族とくらす
都甲幸治[トコウコウジ]
1969年福岡県生まれ。翻訳家、早稲田大学文学学術院教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mug
37
ドミニカ共和国から アメリカへ逃げてきた人々を モデルにした絵本。 主人公は、学校に通っている女の子·ロラ。 ある日先生に 「あなたたちが生まれた国の絵をかいて 明日もってきて」と言われ、 困ってしまう。 なぜなら、ロラが島からやってきたのは 赤ちゃんのころ だったから。 絵を描くために、 島のことを知っている人たちに話を聞き、 イメージがだんだん湧いてくる。 良いことも、辛かったことも フラットに受け入れるロラに、 周りの大人たちの気持ちが少し変わる様子が 感じられた。2022/10/08
リコリス
27
「絵本で世界を学ぼう」を読んで。 楽しい音楽まで聴こえてきそうなカラフルで元気なイラスト。明るい表情の人々の胸の奥にしまわれた記憶。学校の宿題で「生まれた国のこ絵をかいて」と言われ生まれた国のことを知らないロラがおばあちゃんや周りの人たちに聞いてまわります。国や地域が違うと文化もちがい新しい発見があってそれを知ることでお互いが理解しあえると思う。ラストのイラストが素敵です。 2021/02/23
わむう
20
生まれた国の絵を描くという宿題を出されたロラですがアメリカにやってきたのは赤ちゃんの頃だから覚えていません。一緒に移り住んできた人たちに、生まれた島はどんなところだったか聞いてまわり、楽しい島の様子を想像しながら描きます。しかし楽しいばかりではなくアメリカに移らなければならなかった理由も聞くことになります。2019/11/08
魚京童!
15
「わたしのシマをさがして」カタカナにするだけでヤクザだ。怖いよね。でもさ。しょうがないよね。アメリカは自由の国だし、独裁者がいる国だっているし。私だって独裁者になりたいし。でもそうしたら、キミちゃんにすべて譲るんだ。そして独裁者になってもらう。すごい幸せだと思う。ビールは飲める。そして眠れる。なんて幸せな国なんだろう。キミちゃんが独裁者の国は。だから私は独裁者を目指すよ。キミちゃんにすべてを譲るために。2019/01/29
遠い日
11
自分の記憶にはない故郷の島。それでも、島はあなたを覚えているとは、確かに島の血が流れているという誇り。帰りたくてももう帰れない。はるかに流れてきた土地で、幸福に暮らせるすべを求めて生きる人々。ロラが受け止めた過去と現実。厳しいけれど本当のことを知ることからしか始まらないことがある。2018/10/24