内容説明
昔むかし、あるところに一頭のクマがいました。クマは兵士になって戦場に行きました…。おとぎ話か童話のように思われるかもしれませんが、実は、そんなことが本当にあったのです。世界でいちばん有名なクマ、ヴォイテクの物語です。ALAバチェルダー賞(米国児童文学翻訳賞)受賞。
著者等紹介
タック,ビビ・デュモン[タック,ビビデュモン] [Tak,Bibi Dumon]
オランダのユトレヒト大学でオランダ語とオランダ文学を学ぶ。2009年に刊行した『フィートは はしる』(光村教育図書)など4作品でオランダの児童文学賞「銀の石筆賞」を、2012年刊行の『冬のどうぶつたち』で「金の石筆賞」を受賞するなど、近年活躍目ざましい児童文学作家
長野徹[ナガノトオル]
東京大学文学部卒業、同大学院修了。イタリア文学研究者・翻訳家。イタリアの児童書を中心に訳書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mocha
90
史実を元にした児童書。第二次世界大戦中 イランでポーランド人兵士達に拾われたこぐまのヴォイテク。隊のマスコットとして中東からイタリアの戦線へ、戦後はイギリスの動物園で余生を送った。自ら物資の運搬を手伝い、砲弾を運ぶクマとして部隊の紋章にもなったそうだ。食いしん坊でユーモラスなヴォイテクがとてもかわいらしい。巻末の写真では兵士がヴォイテクの隣で笑っている。祖国を失ったポーランド兵が、死と背中合わせの戦場で、それでも希望を失わずにいられたのはヴォイテクのおかげかもしれない。2016/11/15
スー
10
ポーランド兵とクマのヴォイテク二等兵の物語。簡単に当時の情勢とポーランドの状況が分かりやすく説明されています。ポーランド人達はソ連から脱出しイランに逃げそこで軍に入隊していきます。彼等はイラン、イラク、シリア、パレスチナ、ヨルダンからイタリアと転戦して行くなか彼等を慰めたのが中に人が入ってるのでは?と思わせるヴォイテクでした。ビールとタバコと水浴びをこよなく愛し仲間の兵士達とレスリングを楽しみにしていた。喧嘩を仲裁したり落ち込んでる兵士に寄り添ったりする心優しいクマでした。久しぶりに心がほっこりした。2017/06/25
速水 舞
3
兵士が砂漠で買ったクマの物語。いたずら好きのクマは、時に怒られながらも周りを笑顔にしていく。家族を残して戦地にいく兵士たちにとって、このクマは友達であり、子供であり、親であったのだろう。ちなみに、実話です。2015/11/13
みよちゃん
2
兵士とクマの戦記もの。人とクマがこんなに信頼できることに驚いた。ポーランド兵の考え方やイギリス兵との連携でクマが二等兵として手伝うところや、悲しんでいる人に寄り添って、生きていく、これが本当にあったお話だった事に驚いた。2016/05/01
ちいくま
2
お気に入り様の感想を読んで即予約。本当に実話なんですねー 書かれてるヴォイテクのしぐさや行動が時に「中に人が入ってるんじゃないの?」と思えるくらい人間っぽくて、戦場であることを忘れちゃうことすらある感じです。クマに軍籍ってユーモアやゆとりがある時点で、連合軍に利があったのかな…2015/11/21