内容説明
絵画教室に通う子どもたちのスケッチブックに、突然、描いてもいない絵が現れた。これはおばけ…?二人組×三、六人の子どもたちが体験する不思議なできごと、その謎を解くかぎは、七十年前のあの日、ひろしまで起こったことにあった。
著者等紹介
中澤晶子[ナカザワショウコ]
1953年、名古屋市生まれ。1991年、『ジグソーステーション』(絵:ささめやゆき、汐文社)で野間児童文芸新人賞受賞。日本児童文学者協会会員。現在、広告ディレクター・コピーライターの傍ら、作品を書いている
ささめやゆき[ササメヤユキ]
1943年、東京生まれ。1985年、ベルギー・ドメルホフ国際版画コンクールにて銀賞、1995年に『ガドルフの百合』で小学館絵画賞、1999年に『真幸くあらば』で講談社出版文化賞さしえ賞、2000年に『あしたうちにねこがくるの』で日本絵本賞受賞。多くの絵本・画集・挿絵をてがける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
311
描かれているのは現代の広島に暮らす6人の子どもたちだが、テーマを背負うのはその陰にいる3人であり、あの8月6日の原爆投下である。ただ、本書はこうしたものを描いた中ではきわめて例外的であり、すなわち、いたって婉曲に語るのである。したがって原爆も「おおきなばくだん」としか表現されない。そして、現代の子どもたちとの接触もまた控えめである。「あの日」に命を落とした、この物語の子どもたちは「ピカドン」ではなく、「ピカ」を見ただけだったのだろうか。そこには怨念もない。その意味では無垢そのものであるとも言えるだろう。2022/08/05
かおりんご
47
児童書。読み友さんの感想で、気になったので借りました。スケッチブックに、不思議な絵が現れ、それが70年前の原爆で亡くなった同じ年の子どもたちだった・・・というコンセプトはいいのだけれど、少しインパクトに欠ける。どうして、黒シャツおじいさんは、白シャツを着るようになったのかや、花柄ブラウスの子となつのおばあさんとの話とか、もっと突っ込んで書かれていてもよかったのかな?あと、登場人物の名前が斬新すぎて、物語に入りきれなかったのもあるかも?いくらキラキラネームが増えているからって、名字もキラキラはあり得ないし。2015/10/17
ちえ
36
広島の絵画教室に通う小学生。ふたごや友達同士の二人組が三組。それぞれスケッチブックに不思議な絵が浮かび上がる。すわ!幽霊か、と身構えるがそれは70年前の8月6日の子供たち、そしてその子達をずっと心に抱えながら戦後を生きた高齢者たち。こう書くと難しそうだけど、小さな子供でも受け入れやすいお話と絵、過去と今が出会ってスケッチブックの子供たちは広島の空へ。あとがきの質問と答えも子供に分かりやすい。元々子供新聞の連載だったようだ。2023/09/10
Naomi
31
読書メーター友だちさんの感想から気になって読んでみました。広島の小学4年生の子どもたち、スケッチブックに不思議な絵が現れて・・・。2015年の子どもたち6人が見た、1945年の3人の小学4年生。あの頃、子どものまま亡くなった子がいて、生き残っておじいちゃん・おばあちゃんになった人がいて、当然のことながら様々な人生がある。多くを語りすぎていないところがいいなと思いました。ファンタジーなんだけど、本当のことも含まれていることが「あとがき」から分かります。2015/10/14
anne@灯れ松明の火
30
児童書の戦争コーナーから、何となくひらめいて、手に取った。絵画教室に通う2人組×3=6人の子どもたちのスケッチブックに、突然、現れた不思議な絵。花模様のブラウス。着ていたのは誰? 白いシャツ。着ていたのは誰? 小さな男の子は誰? 70年前のあの日、広島で起こった恐ろしく、悲しい出来事に関わる3人の子どもの呼びかけを6人は、しっかり受けとめた。読者である私たちも、一緒に受けとめなければ……! 中澤さん初読み。2020/08/14