感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
村崎未夢
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カール・フィリップ・モーリッツの自伝的小説。主人公アントン=モーリッツの生誕から20歳までの遍歴を描く。常に自意識と自己軽蔑のために悩み、名誉欲は強いが、非常に内向的な青年の心理をひたすらに描写している。彼の人生は常に、栄誉まであと一歩、というところで崩れ去る。何度も何度も挫折を味わうわけだが、一歩一歩なにか絶対的な目標に向かって進んでいき成長して行くというよりは、目標を変えながらぐるぐると遍歴して行くことになる。痛々しさが胸に沁みる。彼の感受性はとても面白い。屠殺される動物に入り込むだとか、思考し続けて2017/02/08
Lieu
0
18世紀の一種の学校小説である。主人公は周りの反応に傷つきやすいタイプだが、アウトサイダーというよりは優等生型であり、今日の目からするとどうでもよいような知識の習得を素直に喜んでいる。もっとぐれてほしいような気もする。ものすごく狭い世界で一喜一憂していた思春期を思い出すようで、なんだかむず痒い読後感である。2020/11/15
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- 和書
- 大道芸および場末の自由