内容説明
シベリアに起源を持つ犯罪共同体“善良なる犯罪者”の生き様とは？国家権力を憎み、武器を愛し、タトゥーに深い意味を込めながら、質素な暮らしを保ち、弱者を尊重し、すべてを共同体で分かち合う。人生の真理が凝縮された“掟”に忠実なその誇り高き生き方は、現代社会の変化に揺れる我々にいったい何を語りかけるのか。イタリアで大反響を呼び、２５カ国で翻訳された自伝的小説
著者等紹介
リリン，ニコライ［リリン，ニコライ］ ［Ｌｉｌｉｎ，Ｎｉｃｏｌａｉ］
１９８０年２月１２日、旧ソ連南部の紛争地域トランスニストリア（沿ドニエストル共和国）のベンデル生まれ。本名ニコライ・ヴェリビツキ（Ｎｉｋｏｌａｉ Ｖｅｒｊｂｉｔｋｉｉ）。「リリン」は、母の名前にちなんだペンネーム。２０１１年、ミラノで文化プロジェクト「コリマ・コンテンポラリー・カルチャー」を立ち上げ、２０１３年にはヴェネト州ソレジーノにタトゥー工房「マルキアトゥリフィーチョ」を開設した。２０１２年からはミラノのヨーロッパデザインスクールでクリエイティブ・ライティングの講座も担当している
片野道郎［カタノミチオ］
１９６２年、仙台市生まれ。１９９５年からイタリア・ピエモンテ州在住。イタリア通訳・翻訳家協会（ＡＩＴＩ）会員（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Melody_Nelson
7
シベリアからトランスニストリア（沿ドニ）へ移住させられた犯罪集団の話で、著者の半自伝的作品という。こんなに恐ろしいところだったのか沿ドニ。ついでに刑務所でも、他のグループとの抗争とか性加害（&被害）とか無茶苦茶。シベリア集団の「掟（原題ではエデュケーション」は法律のようなものから慣習のようなものまであるが、総じて厳しめで数も多い。覚えるのも大変だろう。それにしても…こんな簡単に殺されるような世界は嫌だなというのが正直なところ。本作は3部作の1作目とのことだが、他の2作は邦訳されていない。続きが気になる。2023/10/06
onisjim
3
「善良な犯罪者」という語が象徴するわれわれにとっては奇妙に映る倫理観、正教とヴァナキュラーな習俗が混交したかのような信念の体系、そもそもウクライナとモルドヴァの間に位置するトランスニストリアでなぜ「シベリア」なのか。犯罪者集団の中で育ったという著者の自伝的小説は、読者の文化人類学的な興味をかきたてる。三部作なのだそうで続きを読みたいものだ。2015/06/06
トトス
2
15時間ほどで読めた。かなりの力作だけど面白かった。筆者の幼少期の自伝的小説。これはntddkさんが面白いとツイートしていたので読んだ。この本については多くは語るのは不要だと思いますので、この本についての感想は本の中で語られているシベリアの掟の引用で締めくくる。『私たちシベリアの民は、子供の頃から「言葉にフィルターをかける」、すなわちたとえ故意でなくとも決して過ちを犯さないよう、口から出る言葉に気をつけることを教えられてきた。シベリアの掟によれば、「一度口から飛び去った言葉は二度と戻ってこない」からだ。』2018/12/30
ガテン系
2
犯罪共同体のなかで、“善良な犯罪者”として育てられた作者の生々しい自伝的小説。しかしこの共同体では精神障害を持った人がギフテッドのように扱われているところが驚きだった。あとチャイの味が濃い？バージョンのレシピがのっていて、それが美味しそうだったな……。2017/04/29
ozawa
1
5年前に一度、沿ドニエストル共和国に入国したことがあり、その国の成り立ちや生活について、ずっと気になっていた。まさか、あんなに平和そうな片田舎の自称国家が、こんなギャングパラダイスだったとは...！と驚嘆したものの、読み進めて行くうちに、さすがにこれはフィクションでは？と疑いたくなるような記述が複数。仮に事実だったとしたら、ここまで事細かに裏社会の内情を暴露したら報復されるはず。 伊賀の忍者の末裔の日本人が出てきたあたりでバカバカしくなって読むのをやめた。2024/10/01
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- 和書
- 闇の平蔵 文春文庫
