出版社内容情報
正倉院宝物のなかでも屈指の優品といわれる〈漆金薄絵盤〉。その華麗な絵画表現は観る者を圧倒する。最新の調査・研究成果に加え、初公開となる貴重な写真資料を多数収録し、謎に包まれてきた本品の全貌を紹介する。
内容説明
本書は、正倉院宝物のなかでも屈指の絵画表現を誇る“漆金薄絵盤”について取り上げます。“漆金薄絵盤”とは、仏前に据えた香台と考えられる二基一対の宝物で、蓮花をかたどり、三十二枚の蓮弁をそなえます。その蓮弁に描かれた極彩色の宝相華やキンナラ(迦陵頻伽)などの文様は、見る者を惹きつけてやみません。本書ではこの“漆金薄絵盤”について、美術史的観点からの研究を中心に、自然科学的手法による色料の分析、X線CTスキャナによる構造調査など、諸分野にわたる最新の研究成果をまとめて報告します。蓮弁の図様については、今回高精細の画像により、はじめて全体を網羅して提示します。本書がたぐいまれな“漆金薄絵盤”の理解を深めるとともに、千二百年以上にわたって守り伝えられてきた正倉院宝物の貴重さと魅力を次代へと継承していく一助となれば幸いです。
目次
図版
知っておきたい漆金薄絵盤“香印座”
漆金薄絵盤(香印座)の概要と伝来
漆金薄絵盤(香印座)の制作年代と使用方法をめぐって
漆金薄絵盤(香印座)の絵画
漆金薄絵盤(香印座)の彩色調査
漆金薄絵盤(香印座)の構造調査
『阿弥陀悔過料資財帳』と香印座
特別寄稿 漆金薄絵盤(香印座)蓮弁の彩色について
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- 和書
- 変人偏屈列伝 集英社文庫