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目次
序章 天才を生んだ美術風土―ミラノ
第1章 才能の発芽―ローマ(宗教画へとつながる初期の風俗画;リュート弾き―少年像の頂点 ほか)
第2章 栄光と放蕩の日々―ローマ(鮮烈な公式デビュー―聖マタイ伝;奇蹟の近代的解釈 ほか)
第3章 逃亡の中で達した極み―南イタリア(広がる闇と粗いタッチ―ローマ近郊;画風に似た光と影の町―ナポリ ほか)
終章 光と闇を継ぐ者―カラヴァッジョの影響
著者等紹介
宮下規久朗[ミヤシタキクロウ]
1963年名古屋市生まれ。東京大学文学部美術史学科卒業、同大学院人文科学研究科修了。現在、神戸大学大学院人文学研究科准教授、美術史家。著書に、『カラヴァッジョ―聖性とヴィジョン』(名古屋大学出版会、サントリー学芸賞・地中海学会ヘレンド賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
330
青年期に不良仲間と数々の暴力事件を起こし、とうとう殺人を犯したあげくに死刑宣告を受けて南イタリアに逃亡し、放浪の末にローマに戻ろうとして野垂れ死に―これが16世紀末~17世紀初頭に生きたカラヴァッジョの生涯だ。わずか1文で終わってしまう。ところが、彼こそは絵画にバロックという新しい世紀を拓いた。残された絵画群は圧倒的にドラマティックである。題材において、物語性において、描かれた人物たちの表情において、そして何よりも屹立する光と影の表現において、これほどにドラマティックという形容にふさわしい画家はいない。2013/03/06
ハイク
115
展覧会を見た。名前は知らなかったが、前宣伝やNHKテレビの特集等を見て興味を持った。カラヴァッジョはティツィアーノの弟子だった師匠のもと、ミラノで画家修業した。展覧会は「マクダラのマリアの法悦」が目玉であった。写真と実際の絵とは全然印象が違う。写真では単に人物が描かれている画像を見るだけであるが、実際の絵では人に何かを訴えるような強い印象を与える。それだけカラヴァッジョの筆さばきや技量が並外れているとの圧倒された印象を受けた。警察に何度も世話になり殺人まで犯したが、絵は心から好きなのであったのだろう。 2017/03/05
無花果
32
カラヴァッジョが描いた作品に目が奪われる。強烈な印象を与えてきてその場面を感じ取れるような…。私が愛読してる漫画で宗教ネタがわからないときに参考にしてるのが彼の作品。この美術書は画家の作品の注釈や人生もわかりやすくてお気に入り。カラヴァッジョの作品は好きだけど人間性には難ありだよね。宮下氏の解説にも賛成!!2014/06/28
はな
30
カラヴァッジョすごく力強く迫力があって好きです。以前美術展で鑑賞した時から惹かれてます。コロナの影響で、予定だった展覧会が中止になってとても残念です。しかし、画家自体は問題児な人ですよね…。2021/07/27
風に吹かれて
21
激情の止むことないためか数々の暴力を行い、逃亡し、あるいは刑務所に入っても彼の絵に惚れ込んだ多くの有力者の嘆願で世間に出てくるカラバッジョ(1571-1610)。 初期の静物画に驚く。果物の一滴の輝きも逃さない描写力。時間が過ぎれば腐敗するに違いないとまでも思わせられる現実感。秘められて見えない生命力も描かれているように思える。 数々の作品。人々が崇めるようにではなく畏れるように、そして、人々が見たいと思っているような画が迸らせるものに言葉は出ない。 →2022/12/20