目次
序章 雪舟誕生―総社に生まれ、地元の宝福寺で僧となる 1歳‐?歳
第1章 不遇の京都時代―都へ上り、東福寺・相国寺で修行をしたが… ?歳‐35歳頃
第2章 山口での雪舟―西国の大大名・大内氏のスタッフとなる 35歳頃‐47歳頃
第3章 中国への旅―遣明使の一員として寧波へそして北京へ 48歳‐50歳
第4章 帰国後の雪舟―中国から帰った雪舟は、いつの頃か大分へと向かった 50歳‐60代前半
第5章 山口の老大家―地位を確立して隠居の年へ 60代後半‐82歳
特集 「天橋立図」の面白さ
終章 雪舟死す―没した歳は八十三とも八十七ともいうが、はっきりとはわからない 83歳‐?歳
著者等紹介
島尾新[シマオアラタ]
1953年、東京都生まれ。東京大学大学院修士課程修了。独立行政法人東京文化財研究所美術部広領域研究室長、多摩美術大学教授を経て、2012年より学習院大学教授。日本中世絵画史専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ムカルナス
10
京都国立博物館で開催中の「雪舟伝説」を見に行く予習として読む。雪舟の生涯や作品を知るには最適な本。雪舟が最初に学んだ京都では繊細な画風が主流で芽が出なかったが 中国に行き粗削りな画風を学ぶことで一躍画人として名をあげることになる。雪舟の本来の画風に合ったこともあるし、雪舟の才能もあるが 日本人の皆が持っている繊細さそのままよりも 少しだけダイナミックで異質なものを加えるのが日本で成功する秘訣なのかも。2024/04/30
遠い日
9
雪舟と聞けば、こぼした涙で、足で描いた鼠と、達磨の絵くらいしか思い浮かばないわたしですが、その生涯の浮き沈みや叶わぬ望みを抱えていたこと、人間臭い側面に触れて、新たなイメージを持ちました。2020/03/09
荒野の狼
8
2024年に京都国立博物館で、雪舟の国宝全6件を展示した特別展「雪舟伝説」を見る機会があり、その折に博物館のギフトショップで本書を購入。この時に、「特集 雪舟、その神髄」として特別展「雪舟伝説」を掲載しているサライの2024年5月号と、週刊ニッポンの国宝100通巻10号「中尊寺金色堂/慧可断臂図(エカダンピズ)」も購入し、内容を比較した。本のサイズは、本書<サライ<日本の国宝100の順に、わずかずつではあるが大きく、大きい方が見ごたえはある。2024/05/25
chang_ume
5
雪舟の事績を単に時系列で追うのではなく、山口滞在と訪中の画期、雪舟以前の京都画壇、戦国期大内氏との密接な関係など、人間雪舟のありようを掘り下げていく。繊細さを良しとした中世京都画壇とは距離を置きながら自由闊達な画風を確立させつつ、それでもなお京都への憧憬を抱いた人物像が興味深い。雪舟の様式的特徴もしっかりおさえた内容で、入門書として文句ないです。2024/06/19
お抹茶
3
雪舟が中国で見たのは,雪舟が京都で挫折した繊細な画風ではなく荒っぽい画風で,ダイナミックな筆の勢いがある「四季山水図」にその特徴が表れている。夏珪風のような中国画家に倣いながら雪舟風のアレンジを積み重ねていくのが当時の方法で,「山水長巻」や「秋冬山水図」のオリジナリティを生んだ。山水図巻は中国では権威ある絵画で,主君の大内政弘の治世を言祝ぐ大作として,雪舟は「山水長巻」を描いて献上した。「天橋立図」の解説は特集ページになっていて,細部の拡大もありおもしろい。2024/05/09