内容説明
30年を経てよみがえる血縁を超えた“家族”のかたち。現代に続くその後の物語を新たに加筆。待望の復刊。
著者等紹介
落合恵子[オチアイケイコ]
1945年、栃木県生まれ。作家。子どもの本の専門店と女性の本の専門店、オーガニックレストランなどを核とする「クレヨンハウス」を東京・表参道と大阪・吹田で主宰。育児雑誌「月刊クーヨン」、オーガニックマガジン「月刊いいね」発行人。著書多数。海外絵本の翻訳も多くを手掛ける。2020年、子どもの文化全般に寄与した功績は絶大だとして第五十五回ENEOS児童文化賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ネギっ子gen
50
刊行から31年後の「家族」の姿を加筆し、人々がつながることへの願いを込めて復刊。 血縁の家族に疲れ切って、「結縁」の家族を新しく創りあげる人々を書いたこの小説には、年が離れたゲイの恋人同士が登場する。「あとがき」で、<親しい編集者から「なにもあなたがゲイを書くことはない」 と言われた記憶がある。そんな時代であり、そんな社会であったのだろう/通常「普通」と呼ばれる枠をはみ出してしまう人々、はみ出さざるを得ない人びと。何らかの意味の少数派に反射的に共感するところがあり、それはいまも変わっていない>と。同感。⇒2022/08/02
エドワード
36
少し前に新聞広告が出ていて驚き、手持ちの本を再読。1990年出版―昭和の末の物語だ。東京・中野。広い庭のある洋館、榠樝荘。家主の城田夏彦を中心に、恋人の山下平祐、書店員の高山理恵子、デザイナーの鵜沢哲郎、大学生の朝永宗太、離婚した志賀恭子と六歳の息子の滋が共に暮らす。今ならシェアハウスやLGBTという言葉で表される、当時は密かに後ろ指を指されたであろう、年齢も職業もまちまち、血縁でない人々の共同生活だ。丁寧に描かれるそれぞれの暮らしの豊かさ、安らぎ。今でこそしばしば題材となる舞台の原点がここにある。2021/07/06
kan
13
血縁の家族より結縁の家族。それぞれに傷を負った者だからこその思いやりとおおらかさと距離感がじんわりと良い。大人ってものは、誰かの心のこもった料理で涙が出ちゃうのにこちらも泣けてしまう。独立した個人同士が、心地よい関係を維持できるよう配慮し、空間と時間と思いを共有する積み重ねが、しみじみと心に広がった。2021/11/03
K1
8
縁で結ばれる家族の物語ー31年前の刊行に驚き。それと、「他人を支配するな。自分の体型ぐらい自分で支配しろ」などなどーぜひ多香子語録の出版をお願いしたい。2021/11/05
YOUCO19
7
今でこそシェアハウスをテーマにした小説はたくさんあるがこれは30年前に書かれた本。血のつながりのない人たちが一緒に暮らすことやゲイのカップルは当時としては珍しかっただろう。人を思いやることの大切さ、節度を持って接していくのは血縁あるなしに関わらず大事だと教えてくれる。新聞で知った本。とてもよかった。2021/06/30