出版社内容情報
昭和30年代の東京は、東京タワー建設、東京オリンピック開催を象徴に「高度経済成長」の上り坂をひた走っていた。
集団就職の若者たちが大挙して上京し、工事現場では「ヨイトマケ」の掛け声が…。路地で子供たちは陽が沈むまでチャンバラ、フラフープに夢中になり、紙芝居のおじちゃんの後を追いかけた。「お化け煙突」や「東京スタジアム」もあった。月島・佃・深川には江戸情緒が微かに残り、大川端では新内節を聴くこともできた。 あのころのニッポンはひたすら元気だった。
戦前生まれで現役の名記者が、30年代を生きた市井の人たちの逸話を足で聞き回り、倉庫にもぐっては東京新聞秘蔵の報道写真を探し出す。 そのエッセーと写真が出会い、発酵して、芳醇な一冊がここに生まれた。
内容説明
建設途中の東京タワー、雷門のない淺草仲見世や仁丹塔、下町の名球場・東京スタジアム、隅田川の新内流し舟、千住のお化け煙突、佃島・深川木場の昔風景、渋谷恋文横丁、紙芝居にチャンバラ遊び、新宿・新橋をはじめとした懐かしの駅前などなど、昭和30年代の風景の数々を掲載。感動の名文と秘蔵の写真で描く郷愁のあのころ。
目次
集団就職(繁栄支えた若者の涙と汗;『あゝ上野駅』望郷の応援歌)
街頭紙芝居―夜の病室 最後の“独演会”
第二松江小―一円募金で生まれた校歌
東京タワー―揺れる天空で決死の塗装
蟻の町のマリア―極貧に捧げた28歳の青春
月島追憶―元気な子願って裸騎馬戦
狩野川台風―水没の町 孤軍奮闘の若者
新内流し舟―大川端に響いた粋な歌声
お化け煙突―下界の人が豆粒に見えた
佃島物語(激変の情景 消えゆく古老;幼なじみを結んだ赤い糸)〔ほか〕
著者等紹介
田中哲男[タナカテツオ]
東京新聞(中日新聞東京本社)編集委員。昭和39年入社。社会部、特別報道部などを経て横浜支局長、特別報道部長、編集局次長、東京中日スポーツ総局長などを歴任。自著・共著に「富士異彩」(平成7年度日本新聞協会賞)「翔べカルガモの子よ」「今どきの若者たち」「荒川新発見」など。平成16年、東京新聞創刊百二十年を記念して横浜の日本新聞博物館で「創刊百二十年展」をプロデュース、同時に本紙の歩み「日々激動」を長期連載、出版した。平成19年度中日新聞社特別功労賞。昭和15年、東京生まれ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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