内容説明
本書は、権力支配、天皇制の支配と部落差別の関係を部落の側からの視点で明らかにし、部落悲惨史論を克服して、部落へのマイナスイメージをプラスに変えていく事実を提起する。また、部落差別の重みと差別への闘いが、被差別民衆の「地域に生きる意識」「地域を創る人々の親和力」としてどう働いているのかを探る。一九七〇年代にフランスで起こった「アナール派」の民衆の生活次元、生活感情から歴史事実の性格を明らかにしようとする視点で、「地域」と地域で形成されてきた「コモンセンス(共通感情)」から歴史の逆照射を試みる。
目次
1部 部落史の風景(山椒太夫伝説と部落問題;最後の一向一揆を歩く;大和川付け替え工事と矢田の部落の起こり ほか)
2部 部落差別と天皇制(解放教育と天皇制;部落差別を拡大する雅子ブームの奸策;部落解放同盟の綱領・規約改正と問題点 ほか)
3部 部落史こぼれ話