内容説明
西洋美術が導入されて120年余り。花盛りのように見える日本画には伝統との厳しい相克があり、切り花的といわれた洋画や彫刻が、現在のように日本に定着するまでさまざまな確執があった。明治・大正・昭和の3代にわたる美術家たちの苦闘の歩みを、横山大観から中村岳陵、野島青茲、熊谷守一、曽宮一念、北川民次まで作家の心のひだひだまで入り込み、人と作品の意味を問う気鋭(平成16年度静岡県文化奨励賞受賞)の美術史家3部作の完結編。
目次
画家たちの五浦―天心の言葉
横山大観―その心と芸術展私感
東山魁夷の壁画「満ち来る潮」について
中村岳陵の人と芸術―凛として清新さを失わない画風
野島青茲 人と芸術
熊谷守一―日本画の背景
中村彝の詩魂―短歌と俳句
栗原忠二とその時代
自然へのあこがれ―曽宮一念の画業
竹久夢二の世界―人と芸術
連作「道標」に見る柳原芸術の達成
静物画―日本における静物画の受容を中心に
北川民次の芸術の形成―メキシコ時代を中心に