内容説明
不登校・うつ・強迫性障害に苦しみながら、21歳で知った読字障害(ディスレクシア)という「生きづらさ」の正体。実名を公表し、啓発活動を続ける著者が自ら綴った渾身のメッセージ。
目次
第1章 「生きづらさ」の中で―僕の生い立ち(将来の夢は、警察官;焦り ほか)
第2章 LDは「学びの発見」だ!―僕にとっての「障害」(実名がもつ力;「当事者」って、なんだろう ほか)
第3章 まずは先生に自己肯定感を―僕が考える「発達障害支援」(「常にニコニコしている子」の気持ち;ノイズだらけの耳 ほか)
第4章 「生きづらさ」の可能性―歩み寄る社会に向けて(歩み寄りのプロセス;許し合い、乗り越えること ほか)
著者等紹介
南雲明彦[ナグモアキヒコ]
1984年、新潟県湯沢町生まれ。21歳の時に、LD(学習障害)のディスレクシア(読字障害)であると知り、それ以後、自分と同じような子どもがいなくなることを願って講演・執筆など、啓発活動を続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ころりんぱ
58
識字困難の障害を持つご本人が書かれた本で、本当の自分の経験が綴ってあるのでとてもわかりやすかったです。本人が自分がLDであると気付くまでに、どんな思いを抱えて生活して来たか…生の声、生の気持ち、受け止めました。当事者や教育関係者だけじゃなく、それこそ普通の人がこんな本を読んで、少しでも自分の身に置き換えて考えることができたらいいなと思いました。ちょっと見で物事を判断するんじゃなく、いろんなことを想像して慮るってすごく大事だと思うし、相手の状態を想像できるようになりたいと思いました。2014/10/16
あじ
56
学習障害(LD)のうち南雲さんは「読む書く聞く」にハンデを持っており、ディクレクシアであることを20歳を過ぎて知ったそうです。それまでご両親、先生、大人は気づかず、自分だけが皆と何か違うと隠してきました。学齢を重ねる度に学習に支障をきたし鬱を発症、不登校になってゆきます。「読む書く聞く」が、どれだけ南雲さんをすり減らし、疲弊させ絶望の淵に立たせたかが綴られています。これは学術書ではなく、LDと生きる本人が書いた数少ない書籍。LDで悩む方々の尊厳回復を担うと共に、世に認識を流布させる起爆剤であると思います。2014/08/15
美登利
50
読友さんの感想から手に取る。学習障害、特に読字障害はトム・クルーズさんがそうだと言うのは聞いて知っていましたが、実際はどのような不便さがあるのか理解してはいませんでした。目は見えていても字を捉えづらいと言うのは本当に苦しいことでしょう。書くことも困難で聴覚は過敏過ぎる。小さな頃はニコニコしていれば何となく過ごせた日々からだんだんと成長し自分への苛立ち、表現出来ない苦しさから生きてることも辛かった南雲さん。同じように苦しむ人が少しでも理解されるようにと講演されているそうです。他の本も読んでみたいと思います。2014/10/27
霜月
22
言葉にならない言葉が後から後から込み上げた。学習障害(LD)ディスレクシアという障害であると二十歳を過ぎてから知ったことで変わったこと、わかったこと。実名で当事者であることをカミングアウトし、全国各地講演してまわられている南雲さん。私の息子も発達障害があり、また息子が幼少の頃、ディスレクシアの青年に出会った。当時は今ほどLDという言葉も知られておらず、当人や親御さんはかなり苦労をされたと聞いたことがある。南雲さんもこの手記を書かれるまでどれほどの想いを背負って来られたのか。これを読んで想像してみて欲しい。2014/09/17
ほうき星
14
LDは苦しいと聞いたことはあったが、ご本人の手記のようなものは初めて読んだ。あぁ、本当に大変で苦しいんだなと思った。早期発見と対応がされれば、学校生活も送りやすいのではと思った。情報の少なさもあるけれど、今回のような手記が出されたことで、多くの人、教育関係者の方に知ってほしい。2014/07/09