内容説明
認知症の母にまなざしを向けることは母の死を見つめること。母の死におびえながらも見つめれば見つめるだけ母の命が愛おしくなる。認知症介護、二十年の詩。
目次
まなざし
静かな長い夜
まだまだ
母に会うときは
母からの手紙
桜
臭い
ただ月のように
ラムネ
二つの小石〔ほか〕
著者等紹介
藤川幸之助[フジカワコウノスケ]
1962年、熊本県生まれ。小学校の教師を経て、詩作・文筆活動に専念。認知症の母親に寄り添いながら、命や認知症を題材に作品を作り続ける。2000年に、認知症の母について綴った詩集『マザー』(ポプラ社、2008年改題『手をつないで見上げた空は』)を出版。現在、認知症の啓発などのため、全国各地で講演活動を行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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カワウソさん
1
「一人夜勤してると思うことあるよ。『誰か喋ってくれねぇかな』って」。同僚が言った。この仕事をしていると、ハタから見られる「優しい人たち」というイメージではなく、日々の生々しさにヤラレテしまうことがある。それは相手の生々しさというよりも、まなざしを通して映し出される自分自身の生々しさなのだと思う。自分の「良心」だとか「倫理観」みたいなものを試されている気がする。この詩集では、そんな介護における感性のようなものを見事に表現されている。素晴らしい。2019/11/08
のん
0
「まなざし」は優しく温かいものでありたい。 認知症の母を介護しているのに、沢山のことを反対に教えてくれる母。 母への愛情が溢れんばかりに記されていて、何度読んでもいつも新鮮に胸に響いてきます。2020/01/26