内容説明
本書は中央大学社会科学研究所の「参加と自主管理」研究チームが1983年から87年にかけて行なってきた作業の成果をまとめたものである。われわれの研究チームは、世界各地において現実に実験されている「参加民主主義」のさまざまな経験を理論的および実証的に検討することに関心を持つ研究者の、学際的な集まりとして結成された。「参加民主主義」の最高形態ともいうべき「自主管理」を体制的枠組としているユーゴスラヴィアをとりあげ、それの実証的検討の作業にとりかかった。そしてこの作業は、たんに労働の場における諸関係だけでなく、広く地域社会や生活の領域をも包み込むかたちで設計され、自主管理体制を総体として扱うことを目指した。
目次
1 転機に立つユーゴスラヴィアの自主管理
2 所有概念と参加的意思決定
3 企業内意思決定のモデルと現実
4 労働者自主管理と職場小集団活動
5 労働者自主管理と労働組合
6 農業の発展と農民自主管理
7 コミューン政治と住民の自主管理
8 自主管理利益共同体システムの理念と現実
9 大学の自主管理
10 工場と地域社会―エタ社ツェルクノ工場と住民生活
11 自主管理的統合と経済危機