内容説明
タイ人労働者と日本人駐在員とのあいだで。通訳兼マネージャーとして働きながら、農村出身の女性労働者の本音と価値観に迫る体験記!
目次
第1章 リクルート大作戦
第2章 調査に出るまで
第3章 工場デビュー
第4章 ベルトコンベアは止まらない
第5章 情報提供者
第6章 理由なき反抗
第7章 嫌われる理由
第8章 日本的経営
第9章 みんなの稲刈り
第10章 エイズとミナマタ
第11章 不思議な体験
第12章 一身上の都合により
著者等紹介
平井京之介[ヒライキョウノスケ]
1964年東京都生まれ。ロンドン大学ロンドン経済政治学院人類学部博士課程修了。Ph.D.(社会人類学)。国立民族学博物館教授・総合研究大学院大学教授。専門は社会人類学・東南アジア研究・日本研究。経済と文化、上座部仏教、社会運動などをテーマに研究をおこなっている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Akihiro Nishio
17
タイでタイ本を読むその2。本書は民俗学の研究者が北部タイの日本企業の工場に就職し、タイ人と日本人の考え方のずれを調査したフィールドワークである。自分もタイに駐在している日本人が殆ど外国語を話さず、タイの文化を理解する気がないのを不思議に感じていたが、彼らの気持ちも(少し)理解できたし、タイのワーカの気持も理解できた。つまりは、少数の英語や日本語を理解するタイ人によって情報がコントロールされ、お互いの不満が煽られる構造なのだな。また、タイ人がすぐに転職するのは給料に差を付けられることに抵抗があるとの指摘。2018/02/20
西東京のハリソンフォード
1
北タイの日本企業の工場での、タイ人工場労働者についてのフィールドワーク。何気なく読み始めたけど学術書ではなくノンフィクションエッセイ形式なので面白く一気読みしてしまった。文化人類学者の筆者はタイ語を話し、工場の日本人管理職と現場のタイ人作業員の間を仲介しながら、調査を進める。工場内での日本人とタイ人の分断、タイ人現場監督が巻き起こす情報操作の生々しさを見事に記述している。当たり前だけどタイ人にも意地悪な人はいるよなあ。2023/04/13
kobayo
1
フィールドワークの意味が最初よくわからず読み始めたが現地の生活に深く入り経験することで考え方や文化、また問題が浮き彫りになっていて分かりやすい。2021/01/24
のうみそしる
1
文化人類学がどうの、フィールドワークのルールがどうのといった前置きや挿入が非常に長いわりに、「結論はない、それが人類学だ」と、なんだか煙にまかれた感じがしないでもない。だけど、実際に身を置いた人でしかわからないタイ人労働者の考え方や、農村の慣習が良く書かれている。郷に入っては郷に従いましょう。2017/03/14