出版社内容情報
日本の総人口は2008年をピークに減少に転じた。人口減少社会の様々な影響や問題点が指摘されているが、抜け落ちてしまっているものがある。野生動物がもたらす災害リスクの問題である。それは、人間の側の急速な変化の裏返しの現象であり、すでに日本各地で発生して、日々のニュースに流れる頻度も増えている。
野生動物の問題は農林水産被害にとどまらない。クマやサルやイノシシが都市部にも出没して、人身事故や交通障害を引き起こす。そのほかに人の生活空間に侵入した野生動物がもたらす生活環境被害や、感染症等、人へのリスクはきわめて大きい。新型コロナウイルスもまた、野生動物に由来する問題である。これら対策にかかるコストは莫大なものとなり、放置するほど雪だるま式に増えていく。
本書は、いつも後回しにされてきたために取り返しのつかない段階に入っている野生動物による災害リスクが、重大な社会問題であると警告を発する。そして、野生動物との棲み分けを国土計画に盛り込み、この半世紀ほどの間に壊してしまった野生動物と対峙する現場を再構築すべきと主張する。コロナ禍の今こそ、早急にこの問題に取り組むべきであり、それなくして新しい社会システムの構築はありえない。
内容説明
野生動物がもたらす災害とは、人間社会の急速な変化が生み出した現象であり、すでに日本各地で発生して、ニュースに登場する頻度も増えている。それは農林水産被害にとどまらず、野生動物の都市への侵入、人身事故、人獣共通感染症、等々、人へのリスクはきわめて大きい。新型コロナウイルスもまた野生動物に由来する。そして、放置するほど対策にかかるコストは雪だるま式に増えていく。対策の要は国土計画、土地利用にあることに気づいてほしい。コロナ禍の今、この問題に取り組まずに、新しい社会の構築はありえない。
目次
1部 すでに始まっている問題(人口減少問題の一般的な論点;野生動物の分布拡大と高まる災害リスク;分布拡大の理由;生態系に影響する問題)
2部 国土計画の盲点(人口減少時代の環境変化;コミュニティへの侵入を防ぐ;自然資本として森をマネジメントする)
3部 解決に向けて(機能不全の正体;現場の実行体制;人を育てる)
著者等紹介
羽澄俊裕[ハズミトシヒロ]
1955年生まれ。東京農工大学を卒業後、1980~1984年に環境庁「森林環境の変化と大型野生動物の生息動態に関する基礎的研究」プロジェクトにツキノワグマ班研究員として従事。1983年に野生動物保護管理事務所(WMO)を立ち上げ、2015年(60歳)まで代表取締役。以後、立教大学ESD研究所・客員研究員、東京農工大学農学府・特任教授等を経て、現在は福島県生活環境部鳥獣対策専門官、(公財)神奈川県公園協会理事、(一社)リアル・コンサベーション理事、環境省ほか国や自治体の各種検討会委員を務める。博士(人間科学)早稲田大学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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榊原 香織
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