内容説明
エルヴィン・シュレーディンガーは、量子力学の発展に決定的な役割を果たした。彼によってうちたてられた量子力学的波動方程式は、この分野の重要な基礎方程式となり、彼は大物理学者の1人に数えられるようになった。本書では、彼の多種多様な研究における重要な瞬間瞬間を客観的に分析し、批判的に評価するよう努めた。また、彼の人格を直接印象づけるために、できるかぎり彼自身の著作を引用した。
目次
青少年期と学生時代
学者としての成功への第1歩―助手、講師、教授
チューリッヒ時代
波動力学
ベルリンで「教え学んだ素晴らしい日々」
亡命
ダブリンの「プロの天才」
帰郷
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ロラン
3
物理学にとって1920年代がいかに豊饒な時代であったか。それに引きかえ、1930年代のナチスの台頭がいかにこの物理学者に不運を強いたか。猫を用いた思考実験で知られるシュレーディンガーは、哲学的には素朴実在論者であった。しかしながら、自らが定式化した波動方程式を用いて得られたデータは、結果的に彼に素朴実在論の放棄を迫るものであった。ボーアとの激しい論争で発熱してしまうエピソードも取り上げられている。ある程度の物理学的知識を前提とした書き方のため、読みにくい部分もありますが、興味のある方にはお薦めの本です。2017/06/24