内容説明
「楽園」を襲った理不尽な大量虐殺。国政レベルの政治対立は軍や地方を巻き込み、猜疑と恐怖が人々をパニックに追いやった。こうして悲劇の幕は上がった。
目次
第1章 虐殺の背景
第2章 ジェンブラナの地方政治
第3章 ジェンブラナのムスリム社会
第4章 悪夢の始まり
第5章 一方的「報復」の様相
第6章 すべては国軍の陰謀だったのか
第7章 こうして私は「隣人殺し」になった―「普通の人々」の告白
第8章 嵐の去ったのち
第9章 和解への道を模索して
著者等紹介
倉沢愛子[クラサワアイコ]
慶應義塾大学名誉教授。1946年大阪市生まれ。東京大学大学院修了、コーネル大学大学院ならびに東京大学にて博士号を取得。在インドネシア日本大使館付専門調査員、名古屋大学教授、慶應義塾大学教授などを歴任。専門はインドネシア社会史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Koichiro Minematsu
45
楽園の島での惨劇は、人が鬼になってしまった所業である。鬼滅の刃の鬼側のストーリーに見える。50年経った今も本書を読んで思うことは、犠牲者の鎮魂は未だされていない。それでも楽園でなければならないインドネシア。正しい歴史を知ることからしか、己にできることはないと思った。2020/11/28
香菜子(かなこ・Kanako)
17
楽園の島と忘れられたジェノサイド - バリに眠る狂気の記憶をめぐって。倉沢 愛子先生の著書。バリに眠る狂気の記憶。おそろしいジェノサイド。狂気の記憶は忘れてはならない。でもおそろしいジェノサイドは決して繰り返されてはならない。楽園の島が楽園の島であり続けるにはおそろしいジェノサイドが二度と起きないようにしなくてはならいのは当たり前のこと。2022/08/15
DEE
12
共産主義に怒りを募らせた住民たちの自発的な行動と説明される、住民同士のジェノサイド。しかしそこには政治的な思惑や、国軍の恐怖を利用した煽動があったのではと、著者は考察する。 楽園と呼ばれるバリ島にこんな暗い歴史があったとは。 観光で成り立っている国であることも関係して虐殺の事実はなかったことにされ、さらには過去に親族を殺し殺されした者同士が同じコミュニティに暮らす現実。 バリ島の見方が変わる。2021/02/05
takao
2
☆全国各地で住民による住民の大量虐殺。1965年のインドネシアでのクーデター未遂事件に端を発する。 2024/01/10
のみ
1
淡々と繰り返される惨劇の報告が重い。 だとしても読み切らなければいけない内容だった。2023/01/05