出版社内容情報
日独伊「三国同盟」は、ソビエトを含む「四国協商」を目指していた。米国に眠っていた外務省の暗号電報が松岡構想の詳細を解明する!
異端の外相―松岡洋右は熾烈な外交戦に如何に挑んだのか。新資料によって再構成される外交像
序論 「日独伊ソ四国協商構想」とその問題、松岡外交像の再検討 /第1章 東亜新秩序と「自主外交」の挫折 / 第2章 松岡外交の始動 /第3章 日独伊三国同盟の成立 / 第4章 南進政策の蹉跌/第5章 松岡外交の「勝利」 / 第6章 破綻と終焉 / 終章 松岡外交の構造ほか
【著者紹介】
大阪大学外国語学部非常勤講師
内容説明
新資料によって再構成される外交像。大東亜共栄圏の確立を狙って松岡が目論んだ外交戦略とは―。
目次
第1章 東亜新秩序と「自主外交」の挫折
第2章 松岡外交の始動
第3章 日独伊三国同盟の成立
第4章 南進政策の蹉跌
第5章 松岡外交の「勝利」
破綻と終焉
著者等紹介
服部聡[ハットリサトシ]
大阪大学外国語学部非常勤講師。1968年生まれ。神戸大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得退学・博士(政治学)。専攻は日本政治外交史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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BLACK無糖好き
23
松岡外交の再構築。従来の日独伊三国同盟締結時に日独伊ソ構想が存在していたとの通説に対して、著者はアメリカ公文書館で発掘した暗号解読資料なども解析しながら、必ずしもそうではないとの結論を導き出している。◇個々の対応では「タイ仏印国境紛争調停」を、米英の介入を阻止し軍部の強硬論を抑えて平和裡に成立させたのは、松岡外交の大きな成功事例と言えるのだろう。蘭印経済交渉の行き詰まりの過程など、三国同盟や日ソ中立条約だけでなく多面的に松岡外交を分析し、その投機性を浮き彫りにした点も本書の特色。2021/04/16
バルジ
3
従来の松岡外交像を一新する刺激的な書。本書では松岡外交は一貫して「対米戦回避」が目的と論ず。時々の国際情勢に対応して各個の外交課題を捌き、内には軍部、外には米ソ独といった大国との交渉を通じて袋小路に陥った松岡外交の姿を描く。通説的な日独伊三国同盟のソ連加入案を本書は各国の外交文書を用いて強く否定する。松岡にとって対米関係の調整こそ至上命題であり、日ソ中立条約は米英ソと日本が対決しないための一方便である。松岡は事態を正しく認識し突飛に見える行動も対米戦回避という信念があった。しかしそれは独り相撲でもあった。2022/12/13
カラコムル711
1
それにしても松岡という人は誤解されやすい、理解しにくい人だ。一般の評価は悪すぎる。彼は彼なりに日米戦争を回避しようとしていた。ただし、本心をかくしハッタリを多用する、これでは誰もが(天皇も)誤解するのが当然な政治行動だった。 陸軍と彼一人で相手し陸軍を困らせた、ただ近衛にも見放されては如何ともしがたい。2014/01/15
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