内容説明
いのちがけの恋、真実を求めての若き日の苦悩、恋人・妻の死、そして出家。悟りをも求めないという道元禅師の説いた坐禅への疑い・葛藤、…。七転八倒の心の遍歴とともに、たどり致いた道元・沢木興道の「祇管打坐(しかんたざ)」の禅と、女学生に説いたキリスト教の話を併載。
目次
序話 ある求道者の手記
第1話 宗教の慰め―坐禅人によるキリスト教の話
第2話 生活理想について
第3話 今の世に一番大切なもの
第4話 自己について
第5話 思い以上の私―前篇
第6話 思い以上の私―後篇
著者等紹介
内山興正[ウチヤマコウショウ]
明治45年、東京に生まれる。早稲田大学西洋哲学科を卒業、さらに二年間同大学院に在籍後、宮崎公教神学校教師となる。昭和16年、沢木興道老師について出家得度。以来坐禅修行一筋に生き、昭和40年沢木老師遷化の後は、安泰寺堂頭として10年間弟子の育成と坐禅の普及に努める。平成10年3月13日、示寂
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感想・レビュー
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K Goro
1
引用:「坐禅はそういう「考えられたもの」ではなく、一切不為――「ツクリゴトなし」です。そうしてただ「身をもってする正気の沙汰」ですから、いわゆる理性とか良心とかいうものとは、まったく同一次元のものではありません。」(p.172) 感想:自伝的内容も含むので内山老師の出家前の話も出てくる。俗人時代の波乱のさまは穏やかな筆致で描かれているが、それが却って当時の懊悩の深さを思わせる。そうだった人が、いつもニコニコして会うだけで元気になる素晴らしい人と言われるような人になるという転回はドラマチックで不思議だ。2016/05/23
按摩沙弥
0
ざっくばらんに気取らず飾り付けなしの仏教談話。高い敷居をバリアフリーにしてくださった老師の心意気の遍路を共に歩める良著。
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