内容説明
隋から唐初にかけて活躍し、中国仏教における中観・空思想を一つの究極に導いたとされる吉蔵。現存するかれの著作の精査を通して、その思想の枠組から展開の過程、到達点までを浮き彫りにし、さらに、先行する古訳以来の仏教理解、類似する中国固有思想、同時代の仏教者の見解との比較・考察により、かれの思想の源流と、その普遍性・独自性を多角的に探究した、稀にみる知的冒険の書。
目次
序章 本研究の目的
第1章 吉蔵の伝記と著作
第2章 吉蔵思想の枠組―『大乗玄論』の検討を通して
第3章 吉蔵思想の展開
第4章 吉蔵思想の基底
第5章 吉蔵思想の位置
終章 吉蔵における「空」
著者等紹介
高野淳一[タカノジュンイチ]
1960年、新潟県生まれ。東北大学大学院文学研究科博士課程(中国学)満期退学。博士(文学)。東北大学文学部助手、同非常勤講師などを経て、岩手県立大学盛岡短期大学部准教授。専門は中国哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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内島菫
15
仏法は薬で衆生の惑い(煩悩)は病であり、病が癒されれば薬は必要がなくなるように、仏法も最終的には捨て去るべきと吉蔵は説く。薬も毒を以て毒を制すとも言われるように、煩悩がそのまま解脱であると吉蔵の思想を発展させた天台三大部は言う。つまり仏の教えはすべて方便であり、吉蔵は世の中や人々による様々な見解を否定することによって四句分別を離れ、涅槃にもこだわらない「中」と「仮」の概念を基底に自身の思想を築いたと著者は結論づける。それにしても、神の存在証明にこだわり続けたキリスト教を、2023/09/22
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