内容説明
吉行淳之介、司馬遼太郎、和田芳惠…文人たちの素顔と背中、そして文学が文学であった時代の痕跡!!作家との交流、文学論から書評までを収録。
目次
1(小説家の生理 吉行淳之介;「焔の中」の熱 吉行淳之介 ほか)
2(伝奇作家・司馬遼太郎 司馬遼太郎;伝奇と想像力と創造力 司馬遼太郎 ほか)
3(「やちまた」の人 足立巻一;「演技」と「生きている人間」 大笹吉雄 ほか)
4(○○家で…)
5(年譜について;「座頭市」と「座頭市物語」 ほか)
著者等紹介
久米勲[クメイサオ]
1941(昭和16)年、東京に生まれる。1964(昭和39)年、早稲田大学文学部国文学専修卒、河出書房新社入社。日本文学関係書籍、および雑誌「文藝」の編集に携わる。1979(昭和54)年、退社。編集事務所木挽社設立に参加。1992(平成4)年、退社。以後、フリー。2002(平成14)年より2009(平成21)年まで、青山学院女子短期大学にて講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
111
元担当編集者による回想録は、作家の人となりを知る上で欠かせない。本書では半ば忘れられるか、特定のジャンルでのみ有名だった人を取り上げていて、和田芳恵、倉橋由美子、源氏鶏太、野坂昭如らかなり以前にチラと読んだきりだった名前を幾つも思い出した。紙に1文字ずつ書かれた原稿を夜中に受け取りに行くなど信じられない時代になってしまったが、そんな頃だからこその濃密な人間関係があったのだ。初耳学認定したいエピソード満載で楽しい本だったが、詳しく書けば面白いのに軽く触れるだけで済ませる話が多かったのは実にもったいなかった。2024/07/23
小谷野敦
6
こういう、文藝担当だった編集者が定年後にまとめた作家に関する回想録を私はおそらく全部読んでいる。これは河出書房に勤めていた文藝編集者の、折々に解説などで書いたものに新稿を交えたもので、吉行淳之介、大佛次郎、和田芳恵、足立巻一、司馬遼太郎、中里介山など対象は大勢いるが、当然中里などは担当ではないので、著者の文学論になっている。だが私は文藝編集者からは作家についての逸話は期待しているが、あまり「文学論」に流れてほしくないと思っていて、司馬、介山のあたりは文学を論じすぎではないかと思った。だが先へ読み進むにつれ2024/07/02