内容説明
短歌で哲学を詠む?その破天荒な試みがもたらした絶大な効果!…本書は高校生から読める「哲学史」を目指して書き下ろされた。古代ギリシアのタレスからアリストテレスまで、また中世神学、カント、ヘーゲルからドゥルーズ=ガタリまで、一気に読ませると同時に、学説の丁寧な解説により哲学の醍醐味を十分に味わうことができる。そして本書の最大の魅力は、短歌の抒情性と簡潔性が複雑な西欧哲学の本質に見事に迫り、そのエッセンスを掴んでいること。本書に触れた読者はおそらく、まるで哲学の大海原に漕ぎ出す船に乗ったかのような知的興奮と醍醐味を堪能するにちがいない。
目次
1 ギリシア哲学
2 イエス・キリストと教父哲学
3 中世神学
4 ルネッサンスの哲学
5 近世哲学
6 近現代哲学
7 構造主義以降
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
チェアー
14
哲学史の概説としてはまずまず。筆者も認めているが、パスカルやマルクスなどごっそり抜け落ちている人もいるし、神秘主義や構造主義、脱構造主義にはかなりの紙幅をさいている。短歌で見出しを立てたところが斬新。ざっと読んで、短歌を見直して気になったところを読み返すなんて読み方ができるので面白い。短歌の出来は…。スタイルが主であって内容は問わぬ、ということでしょう。2017/03/15
保山ひャン
3
ギリシア哲学から、イエス・キリストと教父哲学、中世神学、ルネッサンスの哲学、近世哲学、近現代哲学、構造主義以降に渡って、代表的な哲学者の学説を短歌にまとめ、その概略が述べられている。たとえば「一粒の種のなかには万物の性質がみな備わっている」アナクサゴラス、とか。短いページ数でまとめた哲学史としても面白くて、この本読んで興味のわいた哲学もあった。哲学を短歌にする無謀な試みが多少の笑いも含めて快挙。2017/07/30
ゆうひん
2
短歌については短歌と呼んでいいものか躊躇うようなクオリティだが、コンセプトは評価したい。2019/07/12
きぬりん
1
哲学者の思想内容を凝縮した短歌と解説により、西洋哲学史の流れを追う。教父哲学者や中世神学者が比較的多く取り上げられている点は類書にない特色だが、逆に近世の層は薄く解説の分量も少なめ。その解説の分量にも大きなばらつきが見られ、ハイデガー、サルトル、レヴィ=ストロース、ラカン、フーコーなど現代に近づくにつれて異様に長くなる傾向も(バルトでは一哲学者あたり一首の法則も破られ、四首詠まれている)。古代の解説はけっこう分かりやすく、好印象を持って読み始めたが、読み進めるにつれて解説の簡素化と抽象度が増してくる。2025/01/16
のら
1
西洋哲学史の流れを短歌で表わし概観するという面白い試みの一冊。ただ、その試みが成功しているかと言われると…。時代ごとの哲学者のエッセンスを短歌で表現すること自体はとても面白く分かりやすかったですが、その短歌の後に続く本解説が私にとってはとにかく難解。130頁ほどの小著であるため、却って必要な説明が省かれている印象。少なくとも哲学史の1冊目としては厳しい難易度でした。2024/09/21