出版社内容情報
本書はALIFE=人工生命の入門書です。
「人工生命」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。人工知能(Artificial Intelligence:AI)ではなく「人工生命(Artificial Life:略してALife)」。人工知能が「人工的につくられた人間のような知能」であるとすると、人工生命とは「人工的につくられた生物のような生命」のことを指すといえます。人工知能研究者が、人間のような知能をコンピュータで実現できると考えているように、人工生命研究者は、自然の進化が生み出すような終わりのない「オープンエンドな」進化をコンピュータで実現できると考えています。
オープンエンドな自然の進化が生み出してきた多様な生物をみると、その創造力は計り知れません。それをアルゴリズムに落とし込めれば、新しい商品をつくる、新しいデザインをつくる、新しい研究のアイデアをつくるといった、斬新なサービスや技術を次々と生み出すようになるかもしれません。ビデオゲームやVR、ARの世界は、自然の生態系のような豊かさをもち、果てしない冒険と発見を提供するようになるかもしれません。
今、人工知能研究をリードする世界の研究組織が、学習し続ける「オープンエンドなシステム」をつくるための重要な技術として、人工生命に注目しはじめています。人工生命のアプローチや技術が、わたしたちの創造性を拡張し、より生きやすい社会を目指すうえでブレイクスルーとなるでしょう。膨大なデータが重要となる現在の人工知能技術において、世界に遅れをとっているといわれる日本が巻き返しを図るひとつの方法にもなるはずです。
本書は、人工知能や人工生命の知識がない方にも、人工生命が何であるか・どのような研究やアルゴリズムを辿ってきたか・どう役立てられるかを理解いただけるようわかりやすく解説します。人工知能をすでにビジネスに取り入れている方や、人工知能の研究開発を行う研究者、エンジニア、学生の方々、また人工知能を活かしたいと思っているクリエイターの方、そして人工生命という分野を耳にしたことのある方にとっても、先見性をもってご自身の取り組みを発展させることに役立てていただけるはずです。
内容説明
新たな自然をつくり出すアルゴリズム。人工知能から人工生命へ。オープンエンドな進化を目指す、ALIFEの設計思想。やさしいALIFE入門。
目次
1 人工生命とは何か
2 身体性
3 相互作用
4 集団の進化
5 インターネットの進化
6 オープンエンドな進化
7 より生命的なAIへ
著者等紹介
岡瑞起[オカミズキ]
研究者。筑波大学システム情報系准教授/株式会社ブランクスペース技術顧問。2003年、筑波大学第三学群情報学類卒業。2008年、同大学院博士課程修了。博士(工学)。同年より東京大学知の構造化センター特任研究員。2013年、筑波大学システム情報系助教を経て現職。専門分野は、人工生命、ウェブサイエンス、データサイエンス。人工知能学会にて「人工生命研究会」の主査。人工知能学会編集委員。人工生命の国際論文誌『Artificial Life Journal』アソシエイトエディター。(独)情報処理推進機構未踏IT人材発掘・育成事業プロジェクトマネージャー。人工知能学会「現場イノベーション賞」、情報処理学会「論文賞」「山下記念研究賞」など受賞多数。人工生命技術、機械学習、深層学習を使ったデータ分析・活用の研究を行う。大学での研究をベースに、新しい技術の社会実装に力を入れている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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