出版社内容情報
一八二八年、ニュルンベルクに突如現れた謎の少年。言葉もおぼつかず、長く幽閉されていたと思しき彼の存在は、瞬く間に世間を騒がせた。王族の落胤か、それとも詐欺師か。憶測はやがて、人々の同情を猜疑心と憎悪に変え、少年を追い詰めてゆく。ドイツ史上稀に見る真相不明事件を、鋭い洞察と緻密な構成で描き出した傑作。
【目次】
地 図
第一部
身元不明の少年
カスパー・ハウザーの報告書、ダウマーが記す
長官、影芝居の目撃者となる
鏡が語る
カスパー、夢を見る
宗教、ホメオパシー、方々からの来訪
ダウマー、形而上学を試す
覆面の男登場
ツグミの心臓
遠方からの知らせ
イギリスの伯爵
極秘の任務とそれに邪魔が入った顛末
第二部
仮面をつけつづける者と本音を言う者の会話
夜になる
書簡の章
トゥーハー男爵からスタンホープ伯爵への書簡
ダウマーからフォイエルバッハ長官への書簡
フォイエルバッハ長官からトゥーハー男爵への書簡
トゥーハー男爵からフォイエルバッハ長官への書簡
ダウマーからフォイエルバッハ長官への書簡
ベホルト夫人からクヴァント夫人への書簡
カスパー・ハウザー移住の実施に関するヒッケルの報告
ビンダーからフォイエルバッハ長官への書簡
スタンホープ卿から謎の紳士への書簡
太陽への祈り
クヴァント氏、及び当面名前を伏せておく婦人について
ヨセフとその兄弟
ファルケンハウス城
クヴァント氏、微妙な話題に踏み込む
呼び声
旅に出ることが決まる
旅のはじまり
シルトクネヒト
劇に邪魔が入る
クヴァント氏、秘密を暴く最後の企て
時代の謎
カスパー・ハウザー、及びヤーコプ・ヴァッサーマンの略年譜
訳者あとがき



