出版社内容情報
渋谷のハチ公 生誕100周年
ただひたすらに帰らぬ人を待つ。日本一有名な犬、忠犬ハチ公の物語。
生誕100周年を迎え、いつまでも渋谷の愛されるシンボルに。
ぼくはね、野良犬になるよ。
でもね、心配しないでいいよ。
この町でどうにか生きてゆくからね。
門のむこうから背の高い人が、ゆっくりと歩いてきました。
ハチは、その人のにおいで、すぐに先生だとわかりました。
「ずーっと待っててくれたんだね、そうかい、ずーっと、わたしを待っててくれたのかい」
大きな両手でハチの顔をなでまわしてから、先生はハチを抱きしめました。
「さあ、ハチ、うちへ帰ろう」
大正天皇が亡くなり、元号は「昭和」と改められました。
夕方になると、渋谷駅へのお迎えがまたはじまりました。
つぎの日は、駒場の大学で先生を待ちました。
毎日、夕方六時になると、ハチはいそいそと出かけてゆきます。
「おい、やっぱり、あいつ待ってるよ」
「バカな犬だなぁ。ご主人さまは、とっくに死んじまったんだろ。いっくら待ったって帰ってこないのにな」
本書は平成二十一年八月八日に刊行した『ハンカチぶんこ ほんとうのハチ公物語』を
改題・改訂のうえ、新装したものです。
内容説明
大正天皇が亡くなり、元号は「昭和」と改められました。夕方になると、渋谷駅へのお迎えがまたはじまりました。つぎの日は、駒場の大学で先生を待ちました。毎日、夕方六時になると、ハチはいそいそと出かけてゆきます。「おい、やっぱり、あいつ待ってるよ」「バカな犬だなぁ。ご主人さまは、とっくに死んじまったんだろ。いっくら待ったって帰ってこないのにな」
著者等紹介
綾野まさる[アヤノマサル]
1944年、富山県生まれ。67年、日本コロムビア入社。5年間のサラリーマン生活後、フリーライターとして、特にいのちの尊厳に焦点をあてたノンフィクション分野で執筆。94年、第2回盲導犬サーブ記念文学賞受賞
木内達朗[キウチタツロウ]
1966年東京生まれ。国際基督教大学教養学部生物科卒業。Art Center College of Designイラストレーション科卒業。ボローニャ国際絵本原画展入選。講談社出版文化賞さしえ賞受賞。Society of Illustration/金メダル・銀メダル(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。