出版社内容情報
ヨーロッパ大平原を埋め尽くすソヴィエト連邦の大機甲部隊……かつてアメリカを凌駕し、西欧諸国を畏怖させたソヴィエトの戦車・装甲車輌は、どのように発展していったのか? 物理学者である筆者が、技術的視点からソヴィエト/ロシアの兵器開発を辿る。
内容説明
他を圧倒する重装甲、強力な火砲、これらを縦横無尽に動かす走行装置、現代戦車を構成する「走・攻・守」の三要素ごとに、仕組みを解き明かす。つねに西側より一歩先んじたソヴィエトの戦車開発。20世紀初頭に始まり、現代にいたる戦車の技術的発展を、ソヴィエトの視点で辿る。さらに戦車に追随すべく生み出された各種の戦闘車輌、自走砲を網羅!
目次
第1章 戦車の基礎知識(戦車とは何か;走―戦車のエンジンと走行装置;攻―戦車の砲;守―戦車の装甲)
第2章 ソヴィエト/ロシアの戦車(大祖国戦争までの戦車;戦後世代戦車の登場;新世代戦車;21世紀の戦車)
第3章 戦車以外の戦闘車輌(縦深作戦理論;兵員輸送車輌;歩兵戦闘車輌;空挺戦闘車輌;駆逐戦闘車輌)
第4章 自走式火砲(縦深作戦理論と長射程火器;自走榴弾砲;自走迫撃砲;多連装ロケット発射機;戦術ロケット)
終章(設計局と工場;ロシア連邦軍編制一覧)
著者等紹介
多田将[タダショウ]
京都大学理学研究科博士課程修了、理学博士。高エネルギー加速器研究機構素粒子原子核研究所准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紙狸
21
2023年2月刊行。ウクライナにおける戦争関連ニュースで出てくる、ロシア軍(そしてウクライナ軍)の戦車について知りたいと思い、この本を買った。簡潔でかつ要領を得ていて読みやすい。題名は「ソヴィエト」を冠しているが、ロシアの開発動向までカバーしている。ソ連時代についての記述で印象的だったのは、第2次大戦で活躍したT34戦車はハリコフの工場で設計・生産されたという件だ。ハリコフは今はウクライナの都市で、発音もハルキウとウクライナ語読みに変わっているのだが、もともとソ連の兵器生産の拠点だったのだな。2023/03/08
植田 和昭
9
主にロシアの戦車の発達の歴史を扱った本。特にT72からT90までの歴史を取り上げている。自動装填装置が乗員の手を巻き込んで切断したとか、ロシアのスーパーテクノロジーが詰め込まれている。T90見た目はかっこいいけど、簡単にウクライナ軍に撃破されているなあ。保管状態のT62やT54も持ち出しているらしい。1986年の戦車師団51、狙撃兵師団161には驚いた。大隊戦闘戦術についてふれられていなかったのが残念。小規模な戦いではともかく大規模戦闘に大隊戦闘団では対応できないのは、明らかだ。2023/11/10
F4ふぁんとむ
5
単にスペックを並べただけのミリタリー本とは一線を画す素晴らしい本。ドクトリンから始まり、兵器の理論に基づいた解説はとても良い。萌え絵の表紙に騙されてはいけない。2023/10/11
くらーく
4
イラストはかわいいけど、中身は濃いしハードだわ。ウクライナがソビエト時代の戦車製造拠点だったとは知りませんでした。核も配置してあったし、結構戦力的には強い国(地域)なのですな。そりゃ、独立もしたくなるわな。 戦時中の今でも、製造しているのかなあ。今までのところを報道等で知る限りだと、ごく少数の最新兵器よりは、多数の古い兵器の方が効果的のようで。そうすると、西側はアメリカを除き真っ青だろうな。絶対にロシアに勝つ形を取らせてはいけない戦いですな。などと思いながら読了。2023/09/09