出版社内容情報
全篇未収録! 短篇SFの名手の知られざる傑作集。
内容説明
意外な結末満載。短篇SFの匠の全篇初収録+書き下ろし作品集。
著者等紹介
草上仁[クサカミジン]
1959年生まれ。1981年ハヤカワ・SFコンテスト佳作入賞。短篇『割れた甲冑』を「SFマガジン」1982年8月号に発表してデビュー。1989年に『くらげの日』、1997年に『ダイエットの方程式』で星雲賞日本短編部門受賞。1997年『東京開化えれきのからくり』でSFマガジン読者賞受賞
日下三蔵[クサカサンゾウ]
1968年、神奈川県生まれ。出版社勤務を経てフリー編集者、ミステリ・SF評論家。著書・編著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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- 評価
乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
りー
27
面白!星新一で育った僕ら世代のSF好きには刺さるんじゃなかろうか。安定して面白い少し不思議系SF。作者の方名前はよく見かけるけど初読で、なんとなく若手の作家なのかなと思いきや筆歴40年の大ベテランだった。良い意味でとてもそうは思えない瑞々しい感性の作品も、ベテランならではの懐かしいSFもありの大満足の一冊。2021/03/19
geshi
24
捻りのあるアイデアが満載のジャンルを股にかけた切れ味のいい短編集。『記念品』ブームの消費サイクルの早さをブラックに切り取っているが現代に通じるものがある。『変身』誰もが知る作品をSFの俎上に載せる楽しみ。未来観は古びても芯は古びていない。『公聴会』神の製造者責任を人間側が問う無体がニヤリとさせ綺麗にオチる。『国境の南』国王=神の代理人である世界観の定義がしっかりしているから逆手に取ったオチが人間賛歌として感動的。『R依存対策条例』まさに今だからこそあり得ると感じるボーナストラック。2020/09/17
十二月の雀
15
なんというか、間口の広い人だなーと思う。編者解説にある通り、藤子F不二雄のようにキャッチーで、星新一のように切れ味鋭く、フレドリック・ブラウンのような深みがある。言い過ぎか。とにかく一つ一つが読みやすく、ちゃんと面白い。イマイチって奴がないもんね。個人的に、「国境の南」が凄くグッと来てちょっと泣いた。そして直後の「アイウエオ」の下らなさに笑う。なんとまだ短編のストックが百以上あるってんだから本当に凄い。これからまだまだ楽しめる訳か。どうでもいいけど、こんな言い訳めいたあとがきはじめて見た(笑)2020/09/22
harukawani
13
草上仁は、『5分間SF』に次いで2作目の読了。SF短編集ですが、他のジャンルに分類できそうなのもちらほら。とにかく、テーマも作風も文体も、色とりどりで、アイディアのおもちゃ箱といった感じ。しかも、そのアイディアの使い方、話のまとめ方が抜群に面白いのです。この”面白さ”こそが草上仁が書く小説のジャンルでは?個人的には中盤にある「国境の南」から「鉄の胃袋」までの4篇が、その面白さの頂。特に「アイウエオ」のキレ味には驚いた。最高級のギャンブル小説のような味わいで、シンプルなゲームが素晴らしいオチに繋がる。2020/09/07
Valkyrie
11
ハヤカワから短編集が出てた頃は欠かさず購入してたけど1993年の江路村博士を読んだのを最後に忘れかけていた草上仁作品。本書もファンタジーからブラックまで変化に富んだ短編集で「ハズレ無し」と言っていいと思う。表題作もいいけど、「鉄の胃袋」「アイウエオ」の発想が面白くて好き。あとがきによると雑誌掲載のみで短編集化されていない作品が200作近くあるらしい。もったいない。2024/05/31