出版社内容情報
実話怪談の夜叉と謳われる川奈まり子の最新恐怖譚。体験者と資料に徹底してあたるガチ取材から炙り出された本物の恐怖!
内容説明
緻密な取材と調査で怪異を浮き彫りにするルポルタージュ怪談の旗手・川奈まり子が、よりリアルな恐怖を炙り出した渾身の一冊!東京・目黒区の一画で頻発する不気味な怪。土地にこびりついた因縁とは…「化坂の家」、最恐の心霊スポットを訪れた一行がおぞましい声を聞く「犬鳴山トンネル」、霧と恐怖の都・ロンドンのあるホテルで、昏い歴史の影が怪奇現象として現れる「倫敦の足音」、昭和の山深い集落を舞台とする血と因習に彩られた怪談連作「宮柱の娘」など全43篇を収録。滲みついた怨念は死の色を纏って冷たい刃を向ける―。
著者等紹介
川奈まり子[カワナマリコ]
『義母の艶香』で小説家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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夢追人009
270
ルポルタージュ怪談の名手・川奈まり子さんの実話怪談には迫真の真実味が感じられてグイグイ読ませますね。この表紙イラストはメチャえぐくて良いですし、オーソドックスながらも怪奇ファンを必ず満足させてくれますよ。『出る店』未紀さんが独身の頃二十四時間営業のカラオケ屋でアルバイトをしていた時の話。商店街の外れの八階建てビルの1~6階が店舗で7、8階は事務所だった。このカラオケ店には幽霊が出ると信じられていて店長は裏の小川で昔たくさん女が殺されたからと言っていた。殺人はともかく江戸時代に違法な色町があったのは事実だ。2022/02/19
HANA
69
実話怪談集。著者曰く今までの手法を封印して、一般的な書き方に変えたという事だが、自分的には失敗だったと思っている。あの随筆とも怪談ともとれぬ、言わば江戸時代の怪談随筆を思わせるようなところから立ち昇る独特の妖気が好きだったのだが、これは普通の実話怪談と見分けがつかなくなってしまっている。あと普通の怪談になって目につくのが、著者の怪談に含まれる「因果」の多さ。従来だとそれがプラスに働いていたように思えるが、一般的な怪談の文脈に置くと、古さを感じてしまう。とはいえ著者が選んだ道、寂しいけど応援したいものです。2020/01/30
あたびー
18
巻末作者のあとがきを読んで腑に落ちた。全部と言うわけではないが、今までと違うスピード感のあるエピソードがいくつかある。読み手を「怪異の追体験」に導くためだとか。なるほどショートムービーのような瞬発力とフラッシュ感を味わうことができた。でも私が好きだったのはやっぱり以前と同じ語り口手法で書かれた「化坂の家」や「宮柱の娘」と言った、バックボーンのしっかりした話だったかな。ところで「消された」で消えてしまった女性はその後どうなったのか…すごく気になる…2020/02/01
澤水月
13
今回は書き方を変えたとのこと。土地の由来語りが少なめ、人気の心霊スポットの話題も多く年末年始に軽くスイスイ読める2020/01/01
苺猫
7
ルポタージュ的な手法の実話奇譚が減って、シンプルな体験談が多くなっている。私は実際の事件や歴史など背景が言及されてる手法が好きだったので、少し寂しい。『化坂の家』『同業者へ』『呪われし者たち』『夫婦』『父の助け』『宮柱の娘』が好き。 2023/01/10