内容説明
狙われたら最後、地獄の涯まで追いかけてくる呪いや祟り。それらは因果応報の場合もあれば、理由なき無差別テロの場合もある。ある日突然感じた不吉な影が、次第に濃く、近くなってくる。異変に気付き藻掻いてももはや手遅れで、今度は異変を異変とも感じられなくなってしまう…。“奴ら”に取り込まれ、一足先に魂を彼岸に連れていかれてしまうからだ。そして最後、すべてを奪われる。そんな強烈で理不尽な怪に巻き込まれてしまった人々がこの世にいる。本書はその絶望の記録でもある。心臓を殴られるような実話怪談全36話。救いはない、ただ恐怖とリアルが其処にある…。
著者等紹介
つくね乱蔵[ツクネランゾウ]
福井県出身。第2回プチぶんPetio賞受賞。実話怪談大会「超‐1/2007年度大会」で才能を見いだされデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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HANA
60
実話怪談集。人生は一寸先が闇、ダモクレスの剣が突如切れるが如き理不尽。ああ、これはいい。最初の話があんまりにあんまりなんで少々引きながら読んだのだが、残りは「嫌」な話満載で非常に大満足。大半の話が理不尽できちんと決着の付く事無く終わっているのであるが、それが終わることなくいつまでも続く苦患を表しているようで実にいい。「増加する部屋」とか「さよおなら」、「開けるな危険」等、凄みを湛えた話が目白押しなのであるが、個人的に一番は「穴の底から」。この寂寥感が何とも言えない。やはり怪談に一番必要なのは嫌さだよね。2017/02/20
澤水月
36
これまでの単著で一番好み。「さよおなら」「記念写真」「開けるな危険」が良い。「飛び出す絵本」は幼児含めて本好き一家に起きる悲劇と悪夢。ある会社怪談がウチの社か?!と思えてびっくりした。以前のも確認したが今巻も創作小説的なのだが格段にこなれてきた。うまい痺れる怖いもの読めるなら創作(盛り)は気にならない。表紙もいい2017/01/06
ラルル
32
表紙が秀逸。そして中身はタイトル通り絶望感を抱かせる話が殆どでした。嫌な話満載ですがなかなかの出来です。よかった。ただ「危うきに近寄らず」は怖い解釈ではなく藁をも縋る思いで手を伸ばしていた哀しい話ではないかなと…2017/02/28
hannahhannah
20
つくね乱蔵による実話オカルトホラー。タイトル通り救いがない話がほとんど。「セクハラ」は女の幽霊に男性器を象った像を見せつけ、鎮める。ハァ!?ラストも何か無理やり後味を悪くしようとしていて、笑える。「さよおなら」は毎年、原因が分からないまま家族が次々に突然死を遂げていくのが恐ろしい。「就職祝い」も強烈だ。でも人形たちが合体するところを想像すると笑えてくる。「危うきに近寄らず」は危ない実験は自分で試してくれ。「聖地」と「宗教戦争」と「時限爆弾」と「開けるな危険」は強力な霊や神性が登場。創作っぽい話が多かった。2017/04/25
柊よつか
19
厭怪談の名手・つくね乱蔵さんの単著。読み進めるに従い、なるほど絶望を冠するにふさわしい、と思った。突き落とされる絶望ではなく、ひたひたと侵食される…そんな絶望。特に印象的な話は、いい話から一転…「甘納豆」。立ち向かう気概が効かない「上、上!」。最後の一文が辛い「魂呼び」。本書ならでの展開を見せる警察官怪談「記念写真」。諦めを強いる圧倒的な「聖地」。ベニヤ板…筆致の妙か類話よりすごく怖かった「増加する部屋」。臨場感のある「時限爆弾」。2017/02/19