内容説明
実話怪談界に衝撃を与えた『「超」怖い話』が最初に世に出たのは二十数年前。当時「デルモンテ平山」名で参加し、独自の実話怪談を書き続けてきた平山夢明の軌跡をたどる貴重なシリーズ第三弾。事実に勝る恐怖はない。日常と隣り合わせにある怪異空間へと誘う話の数々は、時を経ても禍々しさを失わず読者を暗黒に突き落とす!
著者等紹介
平山夢明[ヒラヤマユメアキ]
神奈川県川崎市生まれ。「デルモンテ平山」名義で雑誌『週刊プレイボーイ』でビデオ評論を手がける。1993年『新「超」怖い話』より本格的な執筆活動を開始。1996年『SINKER 沈むもの』で小説家デビュー。2006年、短編「独白するユニバーサル横メルカトル」で日本推理作家協会賞短編賞、2010年『DINER』で日本冒険小説協会大賞、大藪春彦賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
61
実話怪談集。この時期から狂気系の怖い話が入ってくると聞いたが、中心となっているのは心霊系。それでもその萌芽は「親切心」や「裏ビデオ」等にしっかりと表れている。ただ後年の目を背けたくなるような内容に較べれば、未だ幾分マイルドな気がする。凄惨な表現もこの時期からだんだんと増えてきて、傑作中の傑作「皮膚」何かはもう読んでいるだけで……。一方で著者独特の乾いた笑いが何とも素敵な作品も多い。「心霊カメラマン」や「アレルギー」とか読んでいて大笑いしてしまった。何とも幅広く、著者らしさが一段と表れ始めた一冊だと思う。2016/10/12
J7(読メ低浮上中)
51
この3巻から、後の平山夢明の本流ともいえる、現実の人間や世界のグロテスクさと残酷さが交錯したような恐怖譚が目立ってくる。むせ返るほどの容赦ない、怪異描写にも関わらず、どんどん読んでいってしまう謎の魅力は、一巻の“怖い話とは酒である”という信念を知った後だと納得できる。この世の暗部を抽出した物語でも、押して押して突っ込んで書いていけば、読む者に酩酊にも似た快感を与えることができるのだ。気持ち悪い、人間マジ怖い、でも読みたい。平山作品を読むときに感じていた中毒性の萌芽をこの本に見出せる。こりゃ4巻以降も読も。2017/08/22
ach¡
41
キョワーイ。読みたくなーい。と思ってた筈なのに…まんまと3巻に手をつけてしまった。。もはや表紙を開いた時点で後戻りはできない…そう、あのラーメンの山岡家と同じ臭いがする。3回食ったらOUT、このドラッグ的要素としか説明つかない脳幹に直接作用する感じ、ぁああ…きっと私…次も図書館にリクエストしちゃう…(買えよ!wってうるさい)あと誤字脱字が気になるでーす。もしや抜け落ちた全ての文字を繋ぎ合わせると…ヒェェー(;゙゚'ω゚')な文章になるんじゃまいか?誰か検証してくれたまい。本巻では86頁に2箇所あったです。2016/10/23
澤水月
38
平山文体確立期。滅多にない御巣鷹・日航機墜落事故に纏わる自衛官怪談が白眉。「親切心」は東京伝説に繋がるストーク系恐怖、バスタブ描写が本当に恐ろしく女性にはリアル、冗談抜きで防犯意識高めた。ピータンの壺、天狗の貼り紙も忘れがたい。恐怖がラスト1段落、時には1行でトッポイ味わいに変わる妙味。…の上で巨人がステップ・イカリングのような唇など平山グロ比喩炸裂! ラス1だけでなく枕も「子供はとんでもない…私平山の場合は稲荷の狐を叩き割り翌日撥ねられた」とか最高。「運搬」違う題で覚えていた、古屋兎丸漫画化作ありコメ続2016/09/29
hannahhannah
21
平山夢明恐怖全集・怪奇心霊編第三弾。今回は『新「超」怖い話』の6と7、書き下ろしの「たまちゃん」と「熱帯夜」、「猫」、「食いちぎり」、「借りもの」を収録。飛行機の墜落現場を描いた中期の名作「皮膚」や腐乱死体が出てくる「運搬」など、グロさが上昇。その二つは素晴らしい出来だけど、個人的には狂気系の話が大好きなので「裏ビデオ」や「親切心」が好き。「親切心」はサイコとオカルトが合わさった秀作だと思う。書き下ろしでは「借りもの」がオカルトホラーでもエグくて良い!1Pでも十分恐ろしい「猫」と「食いちぎり」も良かった。2017/07/09