内容説明
短いが切り味鋭い恐怖実話がずらり100話。はなはだ物騒な1冊である。例えるなら本書は、急上昇に急降下、横揺れに縦回転、ありとあらゆる絶叫ポイントが100あるジェットコースターのようなものだ。
目次
さようなら
水差し
トイレ
ダーッ!
怒潮
硫黄島
白い人
腹は減らない
モールス
二年〔ほか〕
著者等紹介
加藤一[カトウハジメ]
1967年静岡県生まれ。人気実話怪談シリーズ『「超」怖い話』四代目編著者として、冬版を担当。また新人発掘を目的とした実話怪談コンテスト「超‐1」を企画主宰、そこから生まれた新レーベル『恐怖箱』シリーズの箱詰め職人(編者)としても活躍中である(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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夢追人009
147
一瞬の恐怖を切り取る百物語ですが、時にはいつまでも心に残りそうな不気味な風情が漂う名作もありますね。『椿の家』近所に住む武居夫妻は鴛鴦夫婦として知られ、もうすぐ中学生になる娘もいて、妻の紗栄子は庭の手入れが好きで椿を愛していた。だが或る日そんな紗栄子が首を吊って死ぬ。遺書には夫・裕之の不倫が書かれていて、娘は父を嫌悪して母方の祖父母の元へ身を寄せる。家では裕之が庭の椿に向かって、ぶつぶつと何か呟いていた。やがて不倫相手と思しき若い女が来て住み着くが彼は全く上の空だった。今も紗栄子は昔のまま優し気に微笑む。2020/11/01
HANA
54
実話怪談集。百話収録という事で文章を切り詰めた話が多いが、その為か素材を調理せずポンと放り出されたような印象を受ける。また収録された話も所謂奇妙な話系が中心となっているのだが、それがさらに拍車をかけている気もする。何かが起こっているがそれが何かわからないのに恐ろしいってのは怪談の完成形だと思うけど、本当に何が起こったのかわからないのはちょっと違うと思うんだけど。体の一部が欠けている幽霊とか常連の幽霊とかは、もう何というか昭和のテイスト。「椿の家」とか抒情感があるのにはいいのが多いのでちょいと残念でした。2015/08/26
みくろ
37
なかなか良質な怪談集だった。4名とも(おそらく)初の作家さんでしたが、どの方のも面白かったです。かなり短い作品も複数、しかし短いからこその驚きや恐怖がまた良い。ただ高田さんは東北の出身の方なのだろうか、方言が分からず何を言っているのか理解できないところも。個人的には「モールス」「平気で…」「祖母」「映画館」が怖かった。こうやって並べると神沼さんと相性が良かったようだ。特に「祖母」はこの手の良い話はよく聞くので、意外さと「なぜ?」という疑問が新鮮な感じで好きです。ホラー映画のお面ってたぶんゴスフェですよね。2015/11/21
ラルル
32
なかなか粒ぞろいの怪談集です。「おっぱい」の声の主は果たして本人なのかそうじゃないのか気になる所。「椿の家」は狂った夫にも不倫相手にも一切の同情は無いけれど、母を失った娘が今健全に育っているのかが気掛かりです2016/09/09
澤水月
25
「平気で…」こええ!「硫黄島」がとにかくこの戦後70年の夏に印象深い。仮に他作合わずともこの1本読めるだけで貴重。読まれてほしい(参照・『ジェットパイロットが体験した超科学現象』も硫黄島怪談興味深い本。共存は本書と同じ。埋まりすぎてて滑走路も… bookmeter.com/cmt/40094626 )。全体に掌編多くさくさく読めて酷暑向き。椿の家、ヒジキとラッキョウ、焼きそばなど怖かったり温かかったり忘れ難い。あと表紙が素敵すぎて開くたび逆さで驚いたり2015/07/31
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