出版社内容情報
本書で注目するのは、映画監督のクセ=演出。
撮影方法、構図、題材をはじめとした演出から、名監督・名作映画の魅力を解き明かします。
とりあげるのは、ハリウッドのヒットメーカー、ヌーヴェル・ヴァーグ、サスペンスの巨匠、実験精神に溢れた日本人監督など、独自の演出で現代映画を牽引してきた12人。唯一無二の映画批評を実践する著者が、彼らの魅力を語りつくします。
ぜひ本書を参考にお気に入りの監督のクセを見つけて、映画をお楽しみください。
内容説明
クセがわかれば映画はもっと面白くなる。
目次
スティーヴン・スピルバーグのクセ 同じものの反復
クエンティン・タランティーノのクセ クソ、ウンコ
ウェス・アンダーソンのクセ 平面性
トニー・スコットのクセ 運動と不動点
クリント・イーストウッドのクセ 疑いの眼差し
小津安二郎のクセ 意味を欠いた同じものの反復
山中貞雄のクセ 背後から撮る
大島渚のクセ 閉じた空間
相米慎二のクセ 特別な時空間の始まりと終わり
黒沢清のクセ 人がどう消えるか気になってくる
アルフレッド・ヒッチコックのクセ 登場人物の知らないことを観客に教えてしまう
エリック・ロメールのクセ 平凡な世界に特別な出来事を到来させる
著者等紹介
廣瀬純[ヒロセジュン]
専門は哲学、映画批評。龍谷大学教授。1971年、東京都生まれ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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- 評価
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
辻薫
1
ヒッチコックのサスペンスを楽しむには観客に人間としての一般知性が求められるため、🐈「ニャン助」にはその面白さが理解できない。それがヒッチコック映画の限界だとする。一方で同じものを何度も反復することが問題になるスピルバーグの映画では、その反復によって映像と音声が物語や意味から解放され、純粋な物質性に達する。物が大量にあることの驚きは猫にも通じる、つまりスピルバーグは観客に人間であることを求めていない。それゆえにスピルバーグはヒッチコックの限界を超えている……という理屈に爆笑🦜2024/09/04
kentaro mori
1
簡潔明瞭でとても面白かったです!勉強になりました。⚫︎アライグマが何でも洗ってしまうように、映画監督にも一人ひとり、つい繰り返してしまう演出方法があります。[•••]アライグマが、他の動物を真似したわけではなく、洗うことを自分で思いついたように、映画監督たちが作品ごとに反復しているのも、一人ひとりが独自に開発した演出方法です。2024/08/25