内容説明
元東電賠償係が激白!原発事故後に起こった杜撰な賠償金支払いと詐欺事件。
目次
第1章 疑惑の共犯
第2章 東電入社
第3章 賠償係
第4章 マネーゲーム
第5章 賠償詐欺捜査官
第6章 賠償金
第7章 裁判と述懐
著者等紹介
高木瑞穂[タカギミズホ]
ノンフィクションライター。風俗専門誌編集長、週刊誌記者などを経てフリーに。主に社会・風俗の犯罪事件を取材・執筆(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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鉄之助
220
原発事故による賠償金は、2019年7月までに290万件、9兆円をこえている。この巨額な金をめぐった詐欺事件の共謀犯として逮捕された元・東京電力社員のドキュメント。金額の水増しや架空請求の実態が、こと細かく明かされリアルに迫って来る。元社員は、高卒で入社し集金業務係から突然、賠償金の支払いチームへ応援で出されるが、高い調整能力が買われて「賠償サギ」の捜査班リーダーに昇格する。警察に協力する捜査側から、一転、容疑者にされる過程が、実にドラマチックだった。被災者の悲劇とともに「原発事故の罪深さ」が伝わる力作。2019/11/11
fwhd8325
63
少しだけ、この賠償の仕事をしたことがるので、実態はわかっているつもりでした。ここまでという驚きと、やっぱりそうかという思いがあります。未曾有のという形容がありましたが、だからこそ、しっかりと行き届く賠償を行わなければ行けなかったと思います。どこからこのお金が出てるのか、そんな認識さえも曖昧で、歪んだバブルを生んでしまい、現在に至っても復興は遠い現実。2020/01/19
ひらちゃん
56
原発賠償金詐欺。賠償金に群がる詐欺師と東電社員の葛藤。あくまでも被害者と加害者の意識から、黒い疑惑に全うに立ち向かえなかったのも容易に頷ける。あくまでも戦ってきた一人が犠牲になったのか。そこにつけ込んだ結婚詐欺に自ら近づいたのも事実なら甘さも感じる。怪しげでも払われてしまった賠償金。割を食った被災者がどれ程いたのか。どこまで本当なんだろう。2019/10/06
クリママ
38
ノンフィクションからはたくさんのことを教えられるし、原発賠償詐欺のことも知るべきことなのだろう。でも、言葉が、文章が合わない。「飛び石にデスクに座っている」「いたく冷えた椅子」など、間違ってはいないし意味も伝わるのだけれど、ノンフィクションの文章としてどうも私にはひっかかる。数ページで挫折しました。すみません。2019/11/26
おかむら
32
時々新聞に載る原発賠償金詐欺事件。これを読むとあれらは氷山の一角かと思えるよ。詐欺の共謀の疑いで書類送検された元東電賠償係のヒラ社員がどういう人生を送ってきてそうなったのか克明に追ったルポ。東電の原子力補償相談室の内情が相当なザルで驚く。2019/11/20