内容説明
科学の君臨、文学の葛藤。戦間期の時代思潮が熱狂した科学/技術は、いかなるロジックを文学に与えたのか。相対性理論がこだまする新感覚派の世界認識、衛生理念に拘泥した中河與一、科学と論理の錯綜に突き当たる探偵小説、発明の政治学と結託する海野十三、科学ジャーナリズムに警鐘を鳴らす戸坂潤、そして「日本科学」と横光利一―知識人たちが科学/技術と切り結んだ言説編成を解きほぐし、合理的な思索が非合理な観念へと転化する理路を導出する。
目次
序章 “科学/技術言説の文化史”を編むために
第1部 戦間期の文学者と科学/技術言説の遭遇(主観の交響圏―石原純・賀川豊彦・新感覚派;物質の境域―初期中河與一と衛生理念;探偵小説の条件―小酒井不木と平林初之輔の「科学」観;発明のエチカ―海野十三の探偵/科学/軍事小説;科学者・統治権力・文芸批評―戦時下の科学振興と戸坂潤)
第2部 横光利一と科学/技術言説の交錯(マルクスの誤読―福本和夫・三木清・横光利一;超越への回路―横光利一と中河與一の「心理」観;献身する技術者―『紋章』前後の横光利一;帝国の論理/論理の帝国―横光利一『旅愁』と「日本科学」;「ポリチカル・エンヂニアー」の戦後―横光利一『微笑』の倫理)
著者等紹介
加藤夢三[カトウユメゾウ]
1990年、東京都生まれ。早稲田大学大学院教育学研究科博士後期課程修了。博士(学術)。現在、お茶の水女子大学基幹研究院人文科学系助教(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
-
- 和書
- オーレ!マダあきらめない