内容説明
社会主義国家の理念の象徴として期待された建築プロジェクト・ソヴィエト宮殿。内外の建築家を結集して競技設計を重ねたものの、様々な困難と状況の変化を経て、基礎工事の段階で破棄される。国家を挙げた一大建築計画はなぜ幻に終わったのか。膨大なアーカイブ資料の調査をもとに、“レーニン”から“スターリン”への転換だけでは語りつくせない、プロジェクトの誕生から消滅への過程を丹念に辿る。競技設計に提出された60点以上に及ぶ設計案を収録。
目次
プロローグ―ソヴィエト宮殿を巡る状況
第1章 プロジェクト誕生の背景―宮殿型建築物の登場(一九一九‐一九三一)(労働者宮殿の競技設計;労働宮殿の競技設計 ほか)
第2章 競技設計―モニュメンタリティの生成過程(一九二八‐一九三三)(ソヴィエト宮殿の競技設計が決定するまでの動き;事前競技設計(一巡目) ほか)
第3章 建設―メガロマニア実現への確信(一九三三‐一九三七)(最終案の策定へ向けて;競技設計終了後のソ連建築界と建築物内部空間に関する議論 ほか)
第4章 一時中断から頓挫へ―新たなシンボルの登場と価値の低下(一九三七‐一九五二)(高層部の設計に関する技術論文;最終設計案完成後の動き ほか)
エピローグ―反芻される物語
著者等紹介
鈴木佑也[スズキユウヤ]
1980年、神奈川県に生まれる。新潟国際情報大学准教授。ロシア国立美術学研究所にて准博士号(Ph.D.芸術史)取得後、東京外国語大学大学院博士後期課程修了、博士(学術)。日本学術振興会特別研究員を経て現職。専門はロシア・ソ連芸術史及び建築史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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