内容説明
“知性の詩人”と称されるポール・ヴァレリーの創作活動の陰には、「他者」としての女性たちに身を開き、知性と情動の両面にわたる濃密な関係があったことが近年明らかになった。ロヴィラ夫人、ポッジ、ヴォーチエ、ヴォワリエら、女性たちをめぐって紡がれた「恋愛書簡」を詳細に読み解きながら、知性の裏箔としてある“エロスの詩人”の側面を鮮やかに描き出す。
目次
序―ヴァレリー「恋愛書簡」を読むために
ヴァレリーと女性たち
抽斗にしまった手紙―ロヴィラ夫人問題を考える
カリンとポールの物語―Ave atque Valeをめぐって
恋文を書くナルシス―「愛」の女性単数形をめぐって
ヴァレリーと犯罪―カトリーヌ・ポッジと「奇妙な眼差し」の形成について
愛のエクリチュールと「不可能な文学」―マラルメ、恋愛書簡、“私”の回想録
著者等紹介
森本淳生[モリモトアツオ]
1970年生まれ。京都大学人文科学研究所准教授
鳥山定嗣[トリヤマテイジ]
1981年生まれ。名古屋大学大学院准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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