内容説明
小説、戯曲、そして映画に至るまで「ヌーヴォー・ロマン」の枠を超えた活動でいまなお読みつがれるマルグリット・デュラス(1914‐1996)。小説で描かれる電話の声、映画にみられるオフの声など、その作品にはつねに、何処からとも知れず到来する“声”の存在があった。本書が狙いを定めるのは、日常性には還元できない中間的な領域―現前と不在、生と死―をたゆたう“幻前する声”にほかならない。
目次
1 虚空と沈黙(「夜明けの光」のセレナーデを歌うのは誰か?―『かくも長き不在』における“声”の幻前;声なき身体、静かなる犯罪―『イギリスの愛人』に寄せて)
2 映画と“声”(デュラス、“声”をめぐるエクリチュールの試み―声の現前と不在の間で;声とまぼろしの風景―デュラス、ストローブ=ユイレ、ポレ、足立における移動撮影)
3 新たなる視角へ向けて(どのように呼びかける(呼ぶ)のか―マルグリット・デュラスにおける名前の力
声の宛て先―デュラスとヤン・アンドレア
デュラスは本当に声の作家だったのか?)
著者等紹介
森本淳生[モリモトアツオ]
1970年、東京都生まれ。京都大学人文科学研究所准教授。専攻、フランス文学
フィリップ,ジル[フィリップ,ジル] [Philippe,Gilles]
1966年、ランニオン生まれ。ローザンヌ大学教授。専攻、フランス文学・文体論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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