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西郷隆盛の幻影―維新の英雄はいかにして作られたか

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  • サイズ 新書判/ページ数 223p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784800314383
  • NDC分類 289.1
  • Cコード C0221

内容説明

大衆と権力がつくり上げた、国民的英雄の虚像。錦絵、肖像画、銅像に刻まれたいくつものイメージを解体し、西郷の実像に迫る!

目次

序章 「西郷星」という希望
第1章 薩摩の「郷中教育」神話
第2章 「常住死身」の哲学
第3章 西南戦争が創った西郷のイメージ
第4章 「反政府のカリスマ」から「不世出豪傑=西郷」へ
第5章 世の中が不安定になると復活する「西郷人気」
第6章 国民的英雄「上野の西郷さん」の完成

著者等紹介

森田健司[モリタケンジ]
1974年兵庫県神戸市生まれ。京都大学経済学部卒業。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(人間・環境学)。大阪学院大学経済学部教授。専門は社会思想史。特に、江戸時代の庶民思想の研究に注力している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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yutaro13

22
西郷隆盛のお勉強その3。西郷像は歪曲されているというのが著者の主張。我々が思い浮かべるのは「上野の西郷さん」だが、西南戦争時に庶民に人気を博した錦絵では髭面の武人「反政府のカリスマ」こそ西郷であった。多くの錦絵を提示しながらイメージの変遷を追う過程は本書の白眉。他方、道徳的で人間的魅力を持つとする従来の西郷像に対し、実は傲慢で政治的知性に乏しい人物だったと著者は主張する。郷中教育の問題点など興味深い指摘もあるが、江戸無血開城に西郷は一切関係していないと言いつつ根拠が示されないなど気になる点も散見される。2019/08/04

skunk_c

22
錦絵の分析などを利用しながら、西郷隆盛像が西南戦争の頃どのように造られたかを中心に論じる。また、西郷隆盛がいわゆる「人徳者」というよりも、嫌好のはっきりした戦う人という実像があるのではないかという説を出す。同じ史料を使いながら家近氏などとはかなり印象の違う結論で、このあたりが歴史解釈の面白さか。この著者は元々「薩長=明治維新史観」には批判的なので、結論には特に驚くこともなかった。ただ、例えば江戸城開城について西郷は何もしていないし、上野戦争の指揮官と手厳しいが、そのような断言はちょっと論拠に乏しい印象。2018/05/23

六点

7
明治初期の新聞錦絵から、上野の西郷さん像に見える「西郷隆盛」像の変遷によって「世直しの英雄」から「無私の巨人」に「ひげが抜けると共に」漂白されていった西郷隆盛の時代史であった。明治六年政変で野に下り西南戦争を起こし敗死するまで、当たり前の事だが庶民は西郷隆盛の実像など知らなかった訳であり、戦地から遠く離れた東京や大阪では西南戦争など大当たりの戯曲に近いものであったと身も蓋もない事であるなあと思う。こういう本が広く知られることによってある意味の呪いである「島津氏の大地」から脱却することが今求められよう。2018/03/21

くらーく

2
2018年の大河ドラマで、鈴木亮平氏がすごく良い人を演じていましたが、実際は。。。 まあ、時代を変える革命家には、強い意志と残酷と思われるような行動原理も必要でしょうな。ぶち壊すだけのパワーと思い込みが無いと、固まってしまった体制は壊せないし。 で、壊れた後は、安定させなきゃいけない。そのためにも、西郷は使われたのだねえ。まあ、大久保や木戸よりは、良い幻影ですよねえ。2019/01/03

しるば

2
レビュー記載時点では大河ドラマ「せごどん」が明治に入った辺りである。西郷隆盛の歴史的評価がいかにして形成されてきたかが史料をベースに分析されているが、なかなかシビアな内容。 なかでも「敬天愛人」が指していたものの実態については鹿児島で生まれ育った者としては個人的に少なからず衝撃を受けた。世間的イメージとして語られるそれとはかけ離れており、改めて歴史を問い直すきっかけとなるかもしれない。 著者の解釈への評価がどうであれ、実像を問い直す分析を残していただいた事には素直に感謝したい。2018/10/29

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