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ミルクを飲まない文明―環太平洋文明と「稲作漁撈民」の世界

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  • サイズ 新書判/ページ数 235p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784800306678
  • NDC分類 612
  • Cコード C0222

内容説明

長江文明、クメール文明、マヤ文明―ミルクを飲まず家畜を食べない環太平洋地域の「古代文明」が、現代文明の限界を超えるヒントになる!

目次

序章 「年縞」が文明史の興亡を解明する
第1章 中国・長江文明の発見―環太平洋文明1
第2章 カンボジア・クメール文明にみる長江文明の遺産―環太平洋文明2
第3章 紀元前後の地球温暖化と文明の興亡
第4章 マヤ文明と森林破壊・気候変動―環太平洋文明3
第5章 環太平洋文明に共通する世界観

著者等紹介

安田喜憲[ヤスダヨシノリ]
1946年三重県生まれ。東北大学大学院理学研究科修了。理学博士。環境考古学専攻。広島大学助手、国際日本文化研究センター教授、東北大学大学院教授などを歴任。現在、ふじのくに地球環境史ミュージアム館長、スウェーデン王立科学アカデミー会員。紫綬褒章受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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izw

18
「ではあるまいか」「ではないか」「だろう」という語尾に満ちた本である。畑作牧畜民による古代四大文明とは別に稲作漁撈民による中国・長江文明が存在したことは確実だが、その実態についてはまだまだ仮説の域を出ない。マヤ文明・インカ文明との共通性を見出し、環太平洋文明を提唱しているが、定説となるにはまだ課題が多い。気候変動と文明の興亡の関連も提唱しているが、反対も多い。学会で厳しい論争を彷彿させる表現で紹介されている20年の研究成果は、西洋文明中心の歴史観を根本的に覆すものであり、今後の進展を多いに期待したい。2015/10/24

ふみすむ

15
四大文明は畑作牧畜民、つまりミルクを飲む民族によって築かれたが、著者は環太平洋造山帯における古代文明に高い類似性を見出だし、ミルクを飲まない非牧畜民による「環太平洋文明」を提唱している。以前読んだ『人とミルクの1万年』とはちょうど対照的な本となっている。2015/09/26

yoneyama

4
これまで常識だった四大文明はすべて牧畜、麦畑作文明だったが、それは西欧中心の史観であり、その対極に漁労米作文明が、揚子江下流域にあった。気候変動で黄河文明の圧迫を受けて四川、貴州を経てインドシナ、漂流民としてジャワ、日本列島、そしてマヤ、インカにあったという話。そこでは太陽、柱、玉、蛇、鳥、発酵食品、女王を崇める共通の文明があった。 世界各地の湖の湖底に積もった泥の花粉分析をするという手法で、2017/05/04

よく読む

4
これはおもしろい!!砂漠に生きた畑作遊牧民の四大文明の他にも、6300年前の長江で稲作漁撈文明が始まった。彼らは照葉樹林に生き、第一次稲作漁撈文明センターを築き、魚を食べ、太陽、蛇、玉を信仰し豊穣を願った。4200年前の気候悪化で南下した黄河の畑作遊牧民と戦い負けた稲作漁労民は雲南省、カンボジアや日本(ボート・ピープル)に移動した。これらはインカやマヤの文明とも似ている。環太平洋の気候のせいか。自然破壊する一神教の畑作遊牧文明ではなく、21世紀は地球にやさしいアニミズムの稲作漁労文明の時代だと説く。2016/02/16

うたまる

4
畑作牧畜民の四大文明に対し、稲作漁撈民による環太平洋文明を提唱する書。石とレンガで構築された四大文明は痕跡が残りやすいが、泥と木で成り立つ稲作漁撈の遺跡は調査が難しく実態が見えづらい。それが年縞の発見により近年解明が進んでいると言う。大変興味深く読み長江文明の伝播論にも賛成だが、少々気張り過ぎて先走り気味なのが惜しい。「抜歯・言霊」の検証は無いし、「太陽・柱・山・玉・鳥・蛇」は環太平洋文明の共通点というよりアニミズム信仰の共通点だろう。他、一神教世界への「それでもまだ気づけないのか!」の喝には笑わされた。2015/12/02

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