内容説明
東日本大震災でわかった緊急時の行動と心理。災害対策の第一人者が提唱する「悲劇の予防線」。自分と家族を守るための心の防災袋。
目次
1 東日本大震災でわかった「防災の死角」
2 人間には「自分だけは大丈夫」と期待する本能がある
3 地震に備えられない人々
4 自分だけは逃げ切れると思っている人々
5 緊急時に知っておくべきこと
6 地震予知・防災常識のカラクリ
7 いつでもあなたを助ける心の防災袋
著者等紹介
山村武彦[ヤマムラタケヒコ]
学生時代に遭遇した新潟地震(1964年)でのボランティア活動を契機に防災アドバイザーを志す。地震、津波、噴火、土砂災害、テロ、事故など、50年間にわたり世界中の災害現地調査を実施。企業・行政等への危機管理アドバイス、講演、執筆等を通じ、実践的防災・危機管理の普及啓発に活躍中。科学技術庁長官賞。所属学会:日本災害情報学会、地域安全学会。現職、防災システム研究所所長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬参仟縁
33
ゴシ太本。感情弱化バイアス:不快感情を快感情よりも弱化させる心理的傾向(5頁注※1)。記憶半減期を過ぎると、次の災害予測はまだ大丈夫だろう、自分だけは死なないと根拠なき楽観に。類似災害に襲われ、同様の被害(5頁)。あり得る。原子力マフィアもそれを狙っていることが見え見え。凍りつき症候群で、呆然自失で何もできないのは75~80%(27頁)と相当数。それゆえ、津波迫るもゆっくり歩いている人も見受けられたという。2016/02/02
roatsu
14
我々の意識にいかに多くのバイアスがかかっていて、大災害を筆頭とした非常時の判断と行動を誤らせるか。わかった気になっている事柄を事例を引いて簡明に説いてくれる、防災から国防までカバーした心構えのマニュアルと言えるかも。大変良い本だった。P148からの防災オンチの日本人の章だけでも必読。楽園に住む生物は食料の豊富さと引き換えに本能的な闘争心や危機予知能力が衰えて時折襲ってくる外敵に抵抗もせず全滅してしまう、という文中の記載はまさに現代日本に当てはまる。相手が天災でも人間でもそうさせてはならないと強く思う。2015/11/23
アセロラ
8
様々な災害事例が出てくるので、切迫感が伝わります。災害事例を読むのが辛い人はやめたほうがいいかも知れませんが、そうでない人は、誰にでも起こりうる災害について知る必要があります。災害に関する様々な心理的な動きのことが出てきて、勉強になります。火事のときは、まずは周りに知らせる、それから消火!地震で避難するときは、ブレーカーを落とし、ガスの元栓を閉める!命捨てるな、モノ捨てろ!持ち出すものは、命だけ!2020/02/11
とっさー
6
災害(非日常)にあった時に、人間には様々な心理バイアスがかかり、うまく行動ができない。「人は皆自分だけは死なないと思っている」というタイトルに込められているように、根拠のないバイアスで安全と思うのではなく、状況を飲み込み、自身の感覚を元に危険を嗅ぎ分け、かつ行動を起こすことが重要。また災害は減災できるということも新たな発見やった。これをキッカケに防災意識を高めること、備えることを実践していきたい。2016/01/22
侘び寂び侘助
5
ここに書かれている事を謙虚に受け入れて、悲観的に準備する必要はある。誰しもまさか自分はと思っているに違いないし、自分もそう。既に実施していると思うが、本の内容をもとに啓蒙や教育をする事が減災に繋がる。必携本。2020/07/25