内容説明
医師もただの人間なのだ。心が折れる瞬間もある―。血液内科の医師・波木は、日々の業務に忙殺されながらも、患者ひとりひとりと向き合い、仕事に取り組んでいた。ある日、市議会議員の堂本が入院してきた。堂本は波木や看護師に執拗に絡み、波木らは疲弊していく。堂本の度重なる攻撃に耐え切れなくなった波木の心に、恐るべきアイデアが浮かぶ…。現役医師が、現代医療の闇を描く!
著者等紹介
桂修司[カツラシュウジ]
1975年生まれ。内科医、医学博士。第6回『このミステリーがすごい!』大賞・優秀賞を受賞、『呪眼連鎖』(文庫:『パンデミック・アイ呪眼連鎖』)にて2008年デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヤクモ
29
医療を題材とした小説であるが前半と後半では全く異なった様相を見せる。前半は現役の医師らしい医療用語を駆使しながら、歪んだ大学の医局制度に翻弄される医師の悩みや医療不信と患者不振の狭間で苦悩しながら崩壊間近の医療現場を支える悲痛な叫びが描かれている。真摯に患者に向き合う中心として描かれているのが、血液・免疫内科の臨床医師である波木勇助。後半では、じわじわと身体を蝕んでいた癌細胞の症状が一気に現れたかのように波木の歯車が狂い始める。いったい何が、どこからが誤りだったのか。病床にある故郷の母の想いが切ない。2017/04/15
つきみ
24
大学病院の勤務医が追い詰められていく過程がとても苦しかった。現役医師が書いた小説ならではのリアリティが、読者に与える苦しみを倍増させるのかもしれない。自分や家族が受ける医療について日々思うことも確かにあるけれど、医師も患者も向き合っている相手は人だということを忘れちゃいけないと感じた。これはオススメ。2014/04/17
ゆい
19
ミステリとしては面白かった!けど、ここまでドロドロに描かなくてもいいんじゃないかなあ。そして、波木が善から悪へ転がる様子が急すぎてちょっとついていけなかった。結局は臆病の地がよく出ているラストだったけど。ただ、途中で 自分は一体誰だ?と自問する様子が妙にリアルではっとさせられました。善と悪でアイデンティティーは語れるのだろうか?2016/06/04
ren5000
19
同じ宝島社だしチームバチスタの二番煎じじゃないの?と意地悪なことを思って読み始めました。結論から言うと面白かった。バチスタよりダークですごく良心的な医者が転落して犯罪者になってしまうという話でちょっとやりきれなさを感じました。他の作品もあれば読んでみようかな?2014/01/20
ヨーコ・オクダ
18
何やろう…どうしたかったのかな、桂センセ。短編、短編が実は1つに繋がってて〜パターンなのか、長編で普通に展開するパターンなのか、微妙な感じ。前半は、血液内科のドクターのお仕事小説っぽくて(うちは、こういうエピソードだけ集めた方が良かったんちゃう?て思う)後半は、若干真面目すぎる、真摯すぎるドクターの転落っぷり満載、ダークな小説っぽい。個人的には、クリーンルームにいる酒造メーカーの御曹司が、何かに感染してどんどん容態が悪化していく謎の一編が良かった。あと、ヒットしたセリフは「ASAPでエントラッセン!」2017/03/02
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- 電撃hp 〈vol.9〉