内容説明
いまなお聴かれ続ける“オリエントの星”。ウンム・クルスームと同時代を生きた、やはり著名なエジプトの詩人で、リブレッティスト(歌詞作者)のアフマド・ラーミーの口を借りて、彼自身の生涯と重ね合わせながら、ウンム・クルスームの一生を、一人称で縦横に克明に語りつくした小説。
著者等紹介
ナスィーブ,セリム[ナスィーブ,セリム] [Nassib,S´elim]
1946年ベイルート生まれのユダヤ系アラブ人。ジャーナリスト、作家、映画作家。フランスを拠点に、様々なヨーロッパの新聞(リベラシオン、ルモンド外国版など)に執筆している。フランス2(TV)のドキュメンタリー番組『戦争捕虜』を監督し、またアルトTVで、イラン番組『アジアのカーペット』を指揮した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
星落秋風五丈原
18
限りなくノンフィクションに近い小説を読んでいる感じでした。2022/01/18
Toshi
11
アラブの歌姫ウンム・クルスームの伝記と思って読み始めると、語り手は著者でもなく、クルスームでもない。さて、その語り手は実在の詩人アフマド・ラーミーで、多くの作品をクルスームのために書いている。彼の目から、クルスームの生涯、そして誰も割くことができない二人の関係を描いていく物語である。そのウンム・クルスームの歌であるが、Youtubeにも多数アップされているので聞いて頂くとわかるが、1曲が1時間近くある。これは歌謡曲と言うより、元々の詩を核に、即興も交えたオペラとして聞くものなのであろう。2021/02/15
芋煮うどん
6
マフフーズを読んだときにも感じたが、わたしはアラブを知らなすぎ。じっくり勉強したい、と思わされた。肝心のディーバの歌、YouTubeで聞いてみたが、日本人のわたしには、染み込みづらい。2021/01/31
さちえみ
1
残念ながら今の私にはとても読み辛かった。日を置いてまた読み直してみたい。2021/11/04
ヨシモト@更新の度にナイスつけるの止めてね
1
ウンム・クルスームの生涯を、最も近い距離からその最期まで寄り添った詩人の眼で描く。時々の権力と微妙な依存関係を持ちつつも、ウンムの最大の支持者は東西のアラブ世界の民衆だった。肉体を備えた偶像を描くための、全体が紗にかかった朧気で美しい詩のような文章。三人称の「彼女」が多用されるが、ここは翻訳にもう一工夫あってもよかったのでは。2021/04/27