内容説明
コロナ民間臨調が明るみに出した「日本モデル」の正体。グローバル・パンデミックに備えるベスト・プラクティスと課題は何か。福島原発事故の民間事故調で大きな話題を呼んだシンクタンクが緊急出版。
目次
序文 なぜ、「コロナ民間臨調」をつくったか
第1部 「日本モデル」とはなにか(世界の中での日本の新型コロナウイルス感染症対策及び行動変容の疫学的評価;命と生計の両立:トレードオフ(二律背反)の挑戦)
第2部 新型コロナウイルス感染症に対する日本政府の対応(ダイヤモンド・プリンセス号;武漢からの邦人救出と水際対策強化 ほか)
第3部 ベストプラクティスと課題(パンデミック危機への備え;官邸 ほか)
第4部 総括と提言(「日本モデル」は成功したのか:学ぶことを学ぶ責任)
特別インタビュー1 西村康稔・新型コロナウイルス感染症対策担当相(経済再生担当相)
特別インタビュー2 尾身茂・地域医療機能推進機構理事長
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Mc6ρ助
12
コロナ第1波への日本の対応の調査報告。短期間にこれだけのものをまとめた人達の努力に頭が下がり、走り読みしかできない爺さまは申し訳ないと思う。「アベノマスク」と和歌山県の抜きん出た対応しかこの時点では評価の確定しておらず、多くは後世の評価に委ねられる。それにしても、ここから第3波までのあいだに和歌山県のようにしかるべきシステムを構築できなかった、国とほとんどの自治体、政治家が官僚にできる判断しか下してないようで、最高裁判決文の「高度な政治的判断」に首をかしげた昔が懐かしい。できるなら、和歌山県に移住したい。2020/12/27
小鳥遊 和
8
『検証 安倍政権』同様、政府融和的な立場で議論。危機管理は結果がすべてだから「日本モデル」は賞賛すべき成果を出したと総括し、官邸中枢の言「泥縄だったけど、結果オーライだった」を紹介。補足資料として「不安解消のために、希望者に広く検査を受けられるようにすべきとの主張」に対する反論資料(厚労省?)を掲載。この資料は “「PCRが受けられない」訴えの裏で “ で検索し東京新聞記事の写真で見られる。同じ主旨を別の例で詳説した論は “ 佐々木淳 本当にPCR検査は必要か? “ で検索すれば読める(赤字部分もぜひ)。2025/05/22
okadaisuk8
6
ところどころ政府に優しい主観的評価が入ったり(特に根拠を示さずアベノマスクがマスク市場価格を引き下げる効果も一応はあったとか、なんとかの対応は責めきれない…とか)、何より東京五輪延期決定前後で国内外の対応が変わったようにみえることへの踏み込んだ調査はなかったり、不満な点もあるにはある。しかし、それでもこのスピード感でこのボリューム、内容をまとめたのは評価するべき。追及型ではないからこそ、政府高官の反省の弁も引き出せている。新型コロナについて考える際には、ひとまず見るべき力作。2020/11/10
西澤 隆
5
読了後思い出したのは横浜ベイスターズ本「4522敗の記憶」。新型コロナ対応では「PCR検査を抑制して陽性者を隠蔽」だの「医師会の利権」だのいろんな陰謀論が語られた。でも本書では、昨年はじめから第二波直前頃までの間に多くの人が行ったことに対して分野・時期ごとに検証を行い、突然現れ、もの凄い勢いで状況を変えていく初対面の問題に対して、それぞれの分野で元々どんな「武器」を持っていてどのように分析し戦ってなんとかしようとしたかを丁寧にまとめている。陰謀論ばかりやってるとバカになっちゃうなと実感しますよ。労作です。2021/06/04
S.J.
4
本書がカバーしているのは2020年夏辺りまでであるが、政府の新型コロナ対応についてかなり中立的な立場から検証している。勿論、監修者を含めてワーキンググループメンバーの思想・信条が影響するリスクはゼロではない。それ故に検証すべき事象の時系列及び各論の客観的記述と、メンバーの主観が入らざるを得ない政府対応の良し悪しの評価・分析・総括及び提言を明確に分けた構成となっており、且つ用いた資料・インタビューの引用元が明示されている点で良書といえる。読者にも単に読むだけではなく、能動的な検証が求められていると考える。2021/03/18