内容説明
ナチス体制に抗い、国家権力に潜む魔力と誘惑を糾弾したリットの名著!国家権力が持つ一元的な権力―暴力―は、人々に隷従を強いることで権力者の欲望を肥大化させ、国家や人間社会を蹂躙しうる。古今東西多くの権力者が、「自己欺瞞の詭弁」を用い、その暴力の正当化に固執してきた。たとえある者が権力者の駆逐に成功したとしても、倫理的意志が薄弱であれば、再びその者が権力の蠱惑的魔力に陥りうる―。ナチス体制下のドイツで書かれたものの、その内容ゆえに当時は公にされず机にしまい込まれていた、権力者が持つべき倫理的意志について喝破した一冊。
目次
第1章 国家と権力(国家における強制力;権力行使の二面性;権力と生成した秩序;秩序と自由;権力と秩序の生成;恒常的に生成する秩序)
第2章 国家と文化(作業能力としての秩序;権力の集中と規制;秩序と作業能力)
第3章 国家と倫理(国家における倫理的意識;秩序の固有な価値;秩序に対する倫理的批判;権力行使の欲望;権力欲の保護施設としての国家;絶対的権力のめまい)
第4章 国家と自然(自然主義の倫理学;自然主義の基準;政治権力と倫理学的自然主義)
第5章 国家権力の倫理的制御(歴史の証言;現代の危機;倫理的規範と具体的状況)
解題 ナチズム期におけるリットの思想的位相の一断面
著者等紹介
小笠原道雄[オガサワラミチオ]
1936‐。広島大学名誉教授、ブラウンシュバイク工科大学名誉哲学博士(Dr.Phil.h.c.)、ボン大学(客員)教授
田代尚弘[タシロタカヒロ]
1947‐。広島大学大学院教育学研究科博士課程修了。茨城大学名誉教授教育学博士(広島大学)。1990年以来、ドイツの教育学専門誌、“P¨adagogische Rundschau(Peter Lang Verlag)”の編集委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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