内容説明
国境を越えた「よい」教育とは何か、どう実現するか―。SDGsが叫ばれる中、国際教育開発は、「先進国」から「途上国」に向け垂直的な一方向に行われる時代は過ぎた。教育や学習を必要とするすべての人達に対して、行政・企業・市民社会・教員・研究者などの関係者が手を携えていくことが求められる。本書は、「誰が教育するか」、「どう具現化するか」、「いかに関わるか」の3部構成で、国際教育開発の新しい理論と実践の具体的指針を提案する挑戦的研究である。新進気鋭の論考11点に加え、経験豊富な第一線の方々によるコラム6点を収録。
目次
国際教育開発の国際的潮流
第1部 誰が教育するか(トランスナショナルな途上国の教育起業家支持ネットワーク―貧困層を対象とする低額私立(LFP)学校を中心に
国家の狭間にある人たちへの教育―海を越えるシリア難民
教育におけるインクルージョンと不就学児童の教育戦略)
第2部 どう具現化するか(修学状況の変遷を捉える―横断的データおよび縦断的データ双方の視点から;互恵的連携を通じた高等教育協力に向けて;教育開発におけるグローバルガバナンスを考える―国際機関の視点から)
第3部 いかに関わるか(“わたし”から始める教育開発―日米における移民の子どものエスノグラフィー;授業を鏡としてこれからの数学教育開発を考える;教師の実践と成長を支える『外部者』のまなざし ほか)
著者等紹介
荻巣崇世[オギスタカヨ]
上智大学総合グローバル学部特任助教。米国ミシガン州立大学より博士号(教育学)取得。比較教育学・教師教育学を専門とし、カンボジアを主なフィールドとして、グローバリゼーションがどのような影響を及ぼしているかについて、特に授業を見ることを通して探究している。主な研究テーマは、グローバル化と教育、教師の学びと成長
橋本憲幸[ハシモトノリユキ]
山梨県立大学国際政策学部国際コミュニケーション学科准教授。筑波大学大学院一貫制博士課程人間総合科学研究科修了。博士(教育学)。専門は比較教育学、教育哲学。研究主題は教育の正当化根拠。主著は『教育と他者―非対称性の倫理に向けて』(春風社、2018年。日本比較教育学会平塚賞、国際開発学会奨励賞受賞)
川口純[カワグチジュン]
筑波大学人間系教育研究科助教。博士(学術、早稲田大学)。国際協力機構、大阪大学を経て、2015年より現職。教員免許取得後、マラウイの教員養成大学で勤務した経験を活かし、途上国における教員養成について研究している。特に、近年はインクルーシブ教育に注力している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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