内容説明
少子高齢化、貧困、差別や格差による社会的排除問題など、社会福祉に関して多くの共通課題を有する東アジア地域において、これらの課題に対処するための福祉実践のあり方は、国・地域ごとの政策背景・支援に携わるアクター・地域の有する独自の文化・社会の違いなどによって実にバラエティーに富んでいる。本書は、日本・韓国・中国・香港・台湾の各都市で行われている福祉についての取組みの事例分析を通し、東アジアにおける福祉実践の実態とそこで生じている今日的課題を浮かび上がらせる。全13章に加え、各都市での特徴的な実践事例を端的に紹介した8つのコラムや各章末の文献案内も充実した、東アジアの福祉をめぐる4年にわたる共同研究の集大成の一冊。
目次
生産主義から社会開発アプローチへ―東アジア社会的不利地域における社会開発型地域再生論の試み
東アジア先進大都市におけるサービスハブの形成過程や重要性―シンガポールと香港を事例に
台北市における社会的弱者が集住する整建住宅団地の更新に伴う居住支援について―台北市斯文里三期整建住宅を事例として
「不安定居住者」に対する居住支援―台北市を事例として
分断の中国都市社会と空間的排除
自治体の福祉政策―ソウル特別市青年手当をめぐって
社会的経済組織が切り拓く新たな社会システムの可能性―社会的経済都市を目指すソウル市の事例から
地域福祉の新たな地平―貧困運動を契機としたまちづくり
韓国における国際結婚移住女性の生存戦略と実践―ソウル市と京畿道安山市の結婚移住女性たちによる挑戦
地域ベースの放課後支援と変遷をどうみるか
「農」と「福」は本当に連携できるのか?―野宿労働者や若者と一緒に農福連携に取り組んだ経験から
エスニック・マイノリティ「支援」の取組み―大阪府下自治体のケースから
エリア活性化策と人権保障の交錯―共に生きるまち東九条の形成と変容
著者等紹介
全泓奎[ジョンホンギュ]
1969年ソウル市生まれ。大阪市立大学都市研究プラザ教授・同副所長。専攻、アジア都市論、居住福祉論。最終学歴、東京大学大学院工学系研究科博士課程修了、博士(工学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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