内容説明
高齢化社会への対応に頭を抱えているのは日本だけではなく、隣国である韓国や台湾も同様だ。この3か国は高齢者へのケアを家族に依存してきたことやサービスの財源に社会保険方式を採用するなど、福祉レジームにある程度の共通性がある。しかし、高齢化率上昇に伴い介護サービスの需要が急増し、その量的拡大などの改革が急務となっている今日、それぞれの福祉レジームに様々な変化があったことは想像に難くないだろう。本書はこれら3か国における福祉制度および政策展開を比較・考察し、日本の今後の高齢者ケアのあり方にも重要な示唆を与える、まさに時宜にかなった労作。
目次
第1部 福祉国家の再編と高齢者ケア(台湾の高齢者ケア政策の計画と変化;韓国の老人長期療養保険制度の導入と展開;介護保険制度の創設・改革と日本の高齢者ケアレジーム)
第2部 地方自治体:制約と強制された自律(台湾における高齢者介護サービスと地方自治体―台北市と新北市における居宅介護サービス組織の比較;韓国における高齢者介護システムの再編と自治体の対応;日本における地域包括ケアシステム構築にむけた自治体の対処と戦略)
第3部 サービス供給組織・家族・地域:境界の再編(台湾の高齢者ケア政策とケアワーカーの「内」と「外」;非営利‐営利の法人格に意味はあるか?―低所得高齢者への行政支援に関する台北市と新北市の比較;韓国における介護する家族への支援事業の推進状況と課題―認知症高齢者の家族支援を中心に ほか)
著者等紹介
須田木綿子[スダユウコ]
東洋大学社会学部教授。1960年生。東京大学医学系研究科保健学博士後期課程二年次修了。博士(保健学)。主要著作:『対人サービスの民営化』(東信堂、2011年:日本NPO学会学術賞、福祉社会学会賞)ほか
平岡公一[ヒラオカコウイチ]
お茶の水女子大学基幹研究院教授。1955年生。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。社会学修士
森川美絵[モリカワミエ]
津田塾大学総合政策学部教授。1972生。東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学。博士(学術)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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